あなたはどうしても尿意を我慢できず、夜中に何度もトイレに駆け込んだ経験がないだろうか。もし頻繁に起こっているならば、それは体内から発せられたイエローカードかもしれないのだ。高齢者を悩ませる「夜間頻尿」の原因を徹底チェックし、その対処法を伝授する!
日に日に暑さが厳しくなるこの頃。仕事帰りにのどを潤そうと、ついアルコールを飲みすぎてしまい、結果、夜中に何度もトイレに起きてしまう‥‥そんな読者も多いのではないだろうか。
夜中に排尿のため起きてしまう症状は「夜間頻尿」と呼ばれる。日本泌尿器科学会のHPでは、「(日本の) 40歳以上の男女約4500万人が夜間1回以上排尿のために起きる夜間頻尿の症状を有し、加齢とともに頻度が高くなります」「日常生活において支障度の高い(困る)症状」と紹介されている。
しかも、この夜間頻尿、そのまま放置しておくと寿命を縮めてしまうという、恐るべき研究結果があることをご存じだろうか。さる医療ジャーナリストは、こう語る。
「東北大学の中川晴夫講師(泌尿器科)たちのチームが03年から5年間、仙台市内のある地域に住む70歳以上の高齢者784人に対し、1カ月間の平均的な夜間の排尿回数を調査したところ、1回以下の人は425人だった。うち18人が調査期間中に死亡したのですが、夜間排尿回数が2回以上の人は35人も亡くなっていた。さらに年齢や持病などの影響を考慮して分析してみると、回数別では2回の人は1.59倍、3回では2.34倍、4回以上3.6倍という驚くべき結果が出たのです」
特に同講師らは多尿の原因に心不全や糖尿病、高血圧などがあり、そうした病気が死亡につながった可能性もあると推察している。さらにこんな注目点も。
「夜間の排尿が2回以上の人の中には、死亡の直前に骨折で入院した人もいて、骨折が原因で寝たきりになり、全身状態が悪化して死亡に至ったケースも少なくなかった。骨折の理由は、夜間頻尿がある人が寝ぼけがちにトイレに行こうとして、転倒するから。起きる機会が増えるほど、そのリスクはさらに高まることになる、と考えられます」(医療ジャーナリスト)
つまり、夜間頻尿には心不全や糖尿病、高血圧といった、さまざまな病気が隠れている可能性があるばかりか、深夜にトイレに行くという行為そのものにも寿命を縮めるリスクが発生する、というのである。
しかし、今や「健康のためには1日に2リットルは水を飲もう!」「寝る前にはコップ1杯の水を飲んで血液をサラサラにしよう!」というスローガンや習慣がすっかりおなじみとなっている。夜間にトイレへ行きたくないからといって、就寝前の水分を控えて、結果、血液の粘度が高まり、血管が詰まりやすくなって脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすのでは‥‥などという一抹の不安もある。
まさに「フグは食いたし、命は惜しし」。では、どうすればいいのか。