5月27日、総務省は2021年の「通信利用動向調査」を発表し、インターネットを利用する60代、70代のSNS利用率が大幅に増加したことが明らかとなった。その一方で、最近では高齢者によるSNSトラブルの報告も増えており、高齢者とSNSとの付き合い方には問題点も少なくない。
「総務省の調査によれば、60代のネット利用者のうち71.7%がSNSを使っていると回答しており、前年の調査よりも11.1%上昇しました。さらに70代では60.7%と、前年から13.2%も上昇しており、コロナ禍でSNSをはじめる高齢者が多いことが明らかとなったのです」(ネットライター)
昨年は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令が相次ぎ、離れて暮らす子供や孫などと会えない状況が続いたため、SNSを通じてコミュニケーションを図ろうとする高齢者が増えたものと見られているが、慣れないSNSからトラブルも急増しているという。
「高齢者がSNSでトラブルになるケースは大きく分けて3パターンあります。1つは相手ユーザーとの距離感が分からずにトラブルになるもので、自分の意見を譲らない高齢者が、やり取りの中でカッとなってしまって相手を誹謗中傷してしまうことが少なくありません。また、相手に対して勝手な親近感を持って性ハラ発言してしまう高齢者のケースも見られますね」(前出・ネットライター)
2つ目は、個人情報に対する意識の薄さによるものだ。
「インスタグラムなど写真や動画を投稿するSNSに自分や家族の顔や住所が分かるものを投稿してしまい、実際に空き巣被害に遭う高齢者もいます。そして最後の3つ目は、詐欺トラブル。SNSで知り合いになった人物から投資を持ちかけられたり、お金を貸してほしいとお願いされて騙し取られる事件も相次いでいます。明らかに怪しい情報でも簡単に信じてしまうことがあるので、十分に注意が必要です」(ITジャーナリスト)
こうしたトラブルが頻発している一方、高齢者のSNS利用は認知症対策やうつ病の改善に効果があるというデータもある。トラブルの危険性があるからと遠ざけるのではなく、身近な人たちがSNSの適切な使い方を教えていくことも大事だろう。
(小林洋三)