ペナントレースも終盤戦に突入したせいか、各球団から「オフの疑問」も囁かれるようになった。その疑問とは、スバリ「2022年3月に延期された第5回WBC大会は、本当に開催されるのか?」だ。
球界関係者によると「25年予定の次々回大会まで延期されると予想する声が大半です」という。その理由は、メジャーリーグが今オフに重要案件を抱えているからだ。
MLBと同選手会で結ばれていた現行の労使協定の有効期限が12月1日で切れる。新しい労使協定を結び直さなければならず、その会合もすでに始まっている。去る8月16日に1回目が行われたのだが、早くも難航の様相を見せているという。
「MLB側はチーム総年俸の上限を引き下げたいとし、その代わりに下限も新たに設けると提示しました。現在の上限額は2億1000万ドル(約231億円)で、それを超えた球団はぜいたく税を支払わなければなりません。ぜいたく税の対象となるチーム総年俸額が下がれば、年俸交渉がシブチン傾向になるので、選手会は譲れないとしています」(米国人ライター)
WBCはMLBと同選手会が立ち上げたWBCI(ワールド・ベースボール・クラシック・インク)が主催となる。主催者が内輪モメしているときに世界規模のイベントはできないだろう。
しかし、「25年まで延期」となった場合、侍ジャパンには新たな問題も浮上してきた。
「新しい代表監督に求めるものが増えてしまいます。代表チームを常設したことによるデメリットというか…」(前出・球界関係者)
東京五輪・野球競技で金メダルを獲得できた勝因に「侍ジャパンの常設」を挙げる声もあった。新たな収益も確保できたが、常設したということは、その収入源となる国際試合を定期的に行っていかなければならない。その試合相手も限られてくる。野球はサッカー、バレーボール、バスケットボールのように世界規模で普及していないからだ。
「5年以上も『WBCで世界一を奪回する』という話題でファンの関心を持続させることはできません。途中、プレミア12大会が行われたとしても、盛り上がらないでしょう。次の代表監督には侍ジャパンに関するさまざまな注目ポイントを提供し続けてもらわなければなりません」(同前)
次期代表監督候補に元巨人指揮官の高橋由伸氏の名前が挙げられていた。佐々木朗希、奥川恭伸、佐藤輝明らを国際レベルに引き上げる課題もあるが、“目標”は5年以上も先。「五輪から半年後にまたWBC」というタイト・スケジュールは免れそうだが、侍ジャパンの常設について、再検討しなければならないようだ。
(スポーツライター・飯山満)