9月16日、日本民間放送連盟の定例記者会見に出席した大久保好男会長は、東京五輪のテレビ中継における民放全体の収支が現時点で赤字になっていることを明らかにしたが、ネット上では《自業自得》との声が相次いでいる。
大久保会長は会見で、「放送権料や長時間放送の制作費が莫大にかかっている」と東京五輪の放送には支出が大きかったと説明し、「ここ2、3大会もそうだが、全体として見れば収支が整うという状況にはとてもない」と、2012年のロンドン大会、16年のリオデジャネイロ大会に続き、具体的な金額は伏せたものの大幅な赤字となることを明かした。また「協賛して支援してくれるスポンサーも多く、広告代理店の方も頑張ってくれた」というが、「自国開催で放送時間が長かったので、全体の収支としては厳しい」とむしろ自国開催だったことで各局独自の特番などを組み制作費がかさんだことも示唆している。
これにネット上では、《さんざん五輪・パラ開催を批判していた民放が中継していること自体が不快だったから、NHKとネットでしか観なかった》《あれだけ情報番組で五輪批判を繰り広げといて、五輪放映で金儲けしようしてたバチが当たったんじゃないか。自業自得》《そもそもオリンピックは平和の祭典なんだけどね。そこで金の話をする民放連の会長もどうかと思う》など厳しい指摘が相次いでいる。
「五輪が放映された18日間のプライムタイムの平均視聴率はNHKが11.24%だったのに対し、日本テレビが5.08%、テレビ朝日が6.07%、TBSが4.92%、フジテレビが3.9%、テレビ東京が3.9%と、民放各局は通常の放送時を下回る局もあるなど振るわない結果となったのは、確かにさんざん五輪批判をしたツケが回った面はあるでしょう。また、民放の五輪批判は視聴者離れを招いただけでなく、結果的にCMスポンサー離れをも加速させてしまった側面もあります」(ITジャーナリスト)
大久保会長はコロナ禍に開催された東京五輪に対する民放各局の報道姿勢に対して、「各社それぞれの判断については問題があったとはまったく思っていない」と理解を示したが、多くの視聴者は違和感を抱いているようだ。
(小林洋三)