矢野阪神の「秘密兵器」アルカンタラが二軍戦で見せた”意外な武器”とは

 矢野阪神“投の最終兵器”ラウル・アルカンタラ投手のデビューマウンドは、5月14日の巨人戦と決まった。この甲子園球場で迎える対巨人3連戦の2試合目が、伝統の巨人戦「通算2000試合」となるのは既報通り。その節目の3連戦の初戦を託すのだから、矢野燿大監督の期待の大きさが伺える。

「巨人は初物に弱いと言われています。初対戦の投手に対し、データが少ないためだと思われますが、今年4月もトラの新人投手・伊藤将司にプロ初勝利を献上しています」(ベテラン記者)

「2匹目のドジョウ」を狙っているのかもしれない。しかし、アルカンタラについては、こんな声も聞かれた。「打席でも要注意!」…。

「調整のため、二軍戦で2試合先発しています。2回目の7日のソフトバンク戦で意外な一面が見られました」(球界関係者)

 そのソフトバンク戦だが、一軍での実戦を想定し、平田勝男二軍監督は指名打者制を解除した。アルカンタラも打席に立たせたのだが、2打席目にアルカンタラは四球をしっかり選んだのだ。

「彼はレッドソックスのマイナーでプロ野球人生をスタートさせ、韓国も渡り歩きましたが、全て指名打者制でした」(同前)

 おそらく、バントなどの技術は持っていないだろう。しかし、選球眼の良さからバットでのビギナーズラックも十分に考えられる。簡単にストライクを取りに行ったら、巨人投手陣は痛い目に遭うかもしれない。

「アルカンタラの投球スタイルは、直球で押してきて、スライダー、スプリットを折り交ぜてきます。直球の威力に自信があるらしく、対戦バッターを力でねじ伏せようとする感じ」(同前)

 在阪メディアは二軍戦での登板視察を終えている。「力投型」だと語る声も多く聞かれた。単調なピッチングにバリエーションをつけるのは、正捕手・梅野の役目であり、腕の見せどころ。メモリアルとなる3連戦の初戦、「巨人打線が初物に弱い」のジンクス通りになれば、矢野阪神は独走態勢をかためることになるだろう。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ