ピンチをチャンスに変えるには「感涙再び」しかない! 7月4日、阪神一軍の投手指定練習に藤浪晋太郎と桐敷拓馬の2人が合流した。雨天のため室内練習となったが、両投手ともダッシュや軽めのノック中にもひと際大きな声を張り上げていた。
「西純矢、ガンケル、ウィルカーソンが立て続けに登録抹消となりました。西の抜けた穴を才木浩人が埋めましたが、いったん一軍登録を抹消されます。トミー・ジョン手術の影響で登板間隔を長く空けないと投げられないので」(在阪記者)
5日からの広島3連戦は、西勇輝、藤浪、桐敷の先発が予想されている。
阪神は今季、広島戦でまだ1勝も挙げていない(0勝9敗2分け)。一軍合流の藤浪が初勝利を手繰り寄せる可能性もあるが、問題は、才木が抹消された後の先発投手が誰になるかだ。
西純矢の再昇格、アルカンタラの先発再転向などが予想されていたが、同時に聞こえてきたのは「感涙、再び」の声。甲子園の一軍マウンドに強い思い入れを持つ“新人投手の大抜てき”である。
「甲子園球場で行われた2日のファーム戦(対オリックス)で、ドラ1ルーキーの森木大智が先発を務めました。森木は高校時代に甲子園出場が叶わなかったので、感無量といった雰囲気でした」(関係者)
6イニングを投げ、無失点。被安打2、奪三振数9。「四死球3」はいただけないが、相手打者にぶつけてしまった後も動じることがなく、大器の片鱗を十分にのぞかせた。
「手術から帰ってきた才木が1159日ぶりの勝ち星を挙げ、感極まって涙をこぼしたシーンは上昇機運を掴み切れないチームを勇気づけました。その『復活劇』ほどではありませんが、甲子園に憧れた新人がタテジマを着て強気のピッチングをする姿は、勝敗に関係なくチームを鼓舞してくれるはず」(同)
また、一時はクローザー失格の烙印を押されたケラーが中継ぎで結果を出し続けている。才木復活の2日、来日初ホールドを挙げており、リリーフ陣の立て直しができたことで、先発投手で“冒険すること”も可能となった。森本は才木が復活した同じ2日にファーム戦で先発している。抹消される才木の代わりに森木が「中6日」で先発するのでは…。
藤浪には先発定着を印象づけるピッチングが期待されるが、森木がチームを勢いづける第2ロケットになってくれるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)