数あるアルコール飲料のうち、消費量が世界で最も多いビール。それだけに庶民が気軽に買える料金に設定されているが、物価水準などの影響により相場は国によって異なる。
そんな中、米国の金融情報サイト『Expensivity』は今年2月、世界58ヶ国を対象にビール1杯(330ml)の販売価格調査の結果を発表。世界各国のマクドナルドのビックマックの販売価格でその国の物価水準を相対的に示す〝ビックマック指数〟というのがあるが、これはそのビール版というわけだ。
ちなみに今回の「1杯の平均価格」は、「スーパーマーケットの販売価格」と「ホテルでの提供価格」の平均値で算出されている。1位に輝いたのは、南アフリカの1.68ドル(184円)。以下は2位ウクライナの1.76ドル(193円)、3位アルゼンチン(196円)という結果に。ちなみにホテルの提供価格も2~3位が入れ替わるだけでトップ3は同じ国だった。
ただし、上位が違う顔ぶれとなったのはスーパーの販売価格。1位のイタリアの0.58ドル(64円)を筆頭に、2位ポーランドの0.62ドル(68円)、3位は同率でスペインとアフリカのガーナの0.68ドル(75円)と並ぶ。海外の場合、国によっては「水よりもビールやワインのほうが安い!」なんて言われるが、こんな激安価格でビールが飲めるなんて驚きだ。
ところで、気になる日本の順位はというと53位の6.16ドル(676円)。スーパー販売価格は2.7ドル(296円)ながらもホテル提供価格が9.62ドル(1,055円)と割高で、平均価格を押し上げる結果となってしまったようだ。
国内外の物価に詳しい経済ジャーナリストは、「原料はほぼ変わらないのにここまで料金が違うのは、物価水準に加えて各国の税制の違いが大きく影響している」と指摘する。
日本だとビール1缶(350ml)あたりの酒税は70円と世界の中でもかなり高い。だが、23年10月には63.35円、26年10月には54.25円と段階的に引き下げられることがすでに決定している。
税率が下がれば販売価格に反映される可能性が高い。格安で飲める諸外国の相場には遠く及ばないにしてもビール党には朗報と言えるかもしれない。
(トシタカマサ)
■ビールが安く飲める国ランキング
1杯の平均価格
1位 南アフリカ 1.68ドル(184円)
2位 ウクライナ 1.76ドル(193円)
3位 アルゼンチン 1.79ドル(196円)
4位 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ 1.96ドル(215円)
5位 ガーナ 2.05ドル(225円)
53位 日本 6.16ドル(676円)
※小数点以下四捨五入。『Expensivity』調べ