新型コロナによる缶ビールの販売増の一方で逆風が吹き荒れる居酒屋の“苦境”

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国の小売店では売上が大幅に減少する中、ビール大手3社で2月のビール系飲料の販売本数が前年同期比を上回っていたことが明らかとなった。自粛ムードが高まりによって、家飲みを選択する人が増えたとみられている。

「メキシコのコロナビールは新型コロナと名前が同じという理由で販売数が激減し、販売元のアンハイザー・ブッシュ・インベブによれば、1月~2月で約2億2100万ポンド(約310億1300万円)の売上減したという話もありましたが、国内の家庭向けビールの販売は好調だったようです。3月11日にキリン、アサヒ、サッポロが発表した2020年2月のビール類の販売動向によれば、各社の販売本数が前年同期を103%~104%増となっていたのです」(食品ジャーナリスト)

 これにネット上では、《意識してなかったけど、最近は家で飲む機会がたしかに増えた》《さすがにこのご時世、居酒屋で長時間お酒を飲む気にはなれないからな…》《外で酔っ払ったら、いつの間にか濃厚接触している可能性もあるし》などの声が寄せられており、中には《家庭向けビールの販売が伸びているということは、それだけ居酒屋なんかは厳しいんだろうね》と居酒屋を心配する声も見られた。

「ビールの販売が伸びる一方、居酒屋は大きな打撃を受けています。本来、3月は送別会の書き入れ時となっているはずなのですが、2月中旬頃から予約のキャンセルが相次ぎ、団体客の姿はほぼ見られない状況になっています。4月からは歓迎会シーズンとなりますが、このまま新型コロナの影響が続き客足が伸びなければ、店を畳む判断を迫られるところも増えてくるかもしれません」(経営コンサルタント)

 居酒屋業界に春はやって来るのだろうか…。

(小林洋三)

ビジネス