新しい性生活様式!? 梅毒とHIV感染者数が減少しているのはナゼ?

 今や新しい生活様式として定着したマスク着用やこまめな消毒、手洗い・うがいの徹底。

 それでも新型コロナの第二波、第三波の感染拡大を防ぐことはできなかったが、同じように飛沫などから感染するインフルエンザはこの冬、どの国でも流行したという話は聞かない。特に日本では昨シーズンに比べてマイナス99.9%という記録的な少なさだ。

 ほかにも似たような形で感染する夏風邪として知られる手足口病、ヘルパンギーナなどの感染症も軒並み激減している。

 一方、そこまで顕著ではないが減少傾向が確認されている主要感染症にHIVや梅毒もある。どちらも性交渉などが主な要因の性感染症で、本来なら新しい生活様式を遵守しても感染リスクは下がるわけではない。

 それでも国立感染症研究所の統計を調べたところ、2020年のHIVの感染者数は923人で19年の740人から19.8%減、梅毒は6509人(19年)→5805人(20年)の10.8%減。では、なぜこのような結果になったのか?

 性感染症に詳しい都内の泌尿器科医は、

「これまでHIVも梅毒も保健所で無料検査を実施していましたが、コロナの影響でそちらの対応に追われて検査を中断した施設が増えたからです」

 とその理由を指摘。つまり、検査を受けていないだけで潜在的な感染者数に大きな変化はないというのだ。

 もちろん、コロナ禍で性的なサービスを行う店を利用したり、マッチングアプリを通じて不特定多数の相手と関係を持つ人は減っているとも言われている。ただし、国立感染症研究所のデータを確認してみると、淋病や性器ヘルペス、尖圭コンジローマなど他の主要な性感染症はいずれも平年通りだ。

「そのため、HIVも梅毒も実際には例年並みの可能性が高いですが、特に梅毒は近年増加傾向なのでむしろ増えているかもしれない。これは性感染症全般に言えることですが、コロナの影響は関係ないというのが医療関係者の常識になっています」(前出・泌尿器科医)

 性感染症の中には自覚症状の少ないケースもあり、無意識のまま人に感染させてしまうことも少なくない。コロナだけでなくこちらの感染症にも気をつけたいものだ。

*写真はイメージ

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