インフル・新型コロナ・マイコプラズマ同時流行で「薬不足」はどうなる

 沢井製薬は1月7日、インフルエンザの治療薬「タミフル」のジェネリック医薬品の供給を一時停止することを発表した。去年12月から全国でのインフルエンザの流行が急激に拡大したことで、この薬の需要が想定を大幅に上回り、製造が追いつかないことが原因という。

「供給停止になったのは『オセルタミビルカプセル75mg』と、主に子ども向けの水に溶いて飲む粉薬『オセルタミビルDS3%』で、カプセルは2月上旬、ドライシロップは1月下旬に供給再開を予定しているといいます」(医療ライター)

 今回のインフルエンザ薬に限らず、近年、慢性的にせき止め薬、抗生物質などが不足しているとたびたび報じられている。

「2020年以降、小林化工、日医工、沢井製薬など、ジェネリック医薬品メーカーの不祥事が相次いだ影響で、ジェネリックの供給量が落ちているそうです。そんな状況で国の施策としてジェネリックの使用を勧めているため、ジェネリックに需要が集中してしまうのが不足の一つの原因といわれます」とは前出・医療ライター。

「さらに薬不足の要因として、せき止めなどの薬は国が定める公定価格で売ると利益が見込めず、製薬会社が作りたがらないという指摘もあります」(同)

 患者の中には、病院で処方箋をもらって薬局に行っても「その薬はない」と言われ、複数の薬局を回っても結局なく、違う薬に変更されるというケースもあるとか。厚生労働省はメーカーに増産要請を出してはいるものの、薬不足解消のメドはまだ立っていないようだ。

 そんな中で今回、沢井製薬の一時供給停止があったわけだが、

「インフルエンザの治療薬は、イナビルやゾフルーザなど複数ありますし、タミフルも、先発薬やほかのメーカーのジェネリックの供給は続くので、深刻な影響は出ないとみられています」(同)

 この冬はインフルエンザのほか、新型コロナ、マイコプラズマ肺炎の同時流行が危惧されえている。まずは普段からマスク、手洗い、うがいで感染症の予防に努めたほうがいいだろう。

(鈴木十朗)

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