毎週水曜の夜7時放送の人気クイズバラエティ番組「東大王」(TBS系)。東大王決定戦を勝ち抜いた頭脳明晰な東大王チームに、芸能人チームがガチで挑戦するという内容がウケて、安定した人気を誇っている。
3月7日、そんな「東大王」に対し、さる著名学者がツイッターで「昔、PTAはさまざまな番組を子どもたちの教育に悪い『俗悪番組』に指定していたけど、今や、人工知能や破壊的イノベーションの時代に間違った狭い学力観を子どもたちに植え付け、小さく前にならえの評価関数の人質にするという意味で、『東大王』が出るクイズ番組を『俗悪番組』に指定すべきだと思う」と苦言を呈し、SNS上では賛否の声が上がった。
「ツイッター上で苦言を呈した同氏も東大出身なんですが、彼が言わんとしていることは、おそらく、『東大』という冠がついてはいるが、これもクイズ番組のひとつで、結局、クイズは答えが用意されているもの。つまり、そこには『新しい発想』や『未知の領域を解明する力』を養うものはないのではないかと……。そのあたりを問題視したのでしょうが、発言があまりにストレートだったため、ちょっとした騒動になったようです」(スポーツ紙芸能記者)
SNS上では、《たしかに東大、東大って持ち上げるのはどういうものか?》《うん、たしかに東大の看板を前面に掲げすぎ!》といった同意派から、《たしかにテレビ番組の劣化は事実だが、東大王がそこまで悪いとは思わんが》《下ネタに走るお笑い番組よりは、はるかに健全》といった番組擁護派、さらには《もはやテレビにそこまで影響力はない。逆にテレビを過信しすぎでは》《そもそもテレビに面白い以外の何を求めるのだろうか?》といった冷静な意見も続々。他局でクイズ番組を制作する放送作家はこう言って反論する。
「ここ数年、東大をはじめ大学生などを登場させたクイズ番組が量産されていますが、その背景にあるのが、製作費の経費節減があります。たとえば、タレントを起用した場合、一人10万円程度のギャラが発生するとしたら、学生なら1本2万程度でOK。それで、視聴率が稼げるとなれば、似たような競合番組が増えていくのは自然な流れです。しかも、『今夜はナゾトレ』(フジテレビ系列)から派生した書籍『東大ナゾトレ』(扶桑社)は、累計で120万部を突破する大人気ベストセラーシリーズとなった。番組を書籍化できれば、一粒で二度美味しいということになるんです。しかも、コロナ禍でロケに行けなくてもクイズ番組なら最悪、オールリモートでの収録も成り立つ。つまり、クイズ番組はテレビ局にとってはなくてはならない超優良コンテンツというわけです」
意外なギャラ事情も浮上したが、クイズ番組のあり方が問われる今回の東大論争。果たしてその行方は……。
(灯倫太郎)