目標の1万に届かず…「お母さん食堂」改名要望の署名活動に逆風が吹いたワケ

 コンビニ大手のファミリーマートが展開するお惣菜商品の自社ブランド「お母さん食堂」。イメージキャラクターを務める香取慎吾がかっぽう着姿の妙齢の母親に扮したCMや広告を見たことがある人は多いだろう。

 だが、そこに「食事を作るのはお母さんだけですか?」と異議を唱えたのが、3人の女子高生。ガールスカウト日本連盟主催のジェンダー平等について考えるプログラムに参加し、性別で役割を決めつけない社会の実現を求める彼女たちは、同ブランドの名称が「お母さん=料理・家事をする」とのイメージを助長しかねないと主張。ブランド名の変更を求め、オンライン署名活動を行っていた。

 この取り組みはメディアでも取り上げられたが、昨年末の期限までに集まった署名は7576人分。目標の1万人には届かなかった。

 ジェンダー問題に詳しいライターは、逆風が吹いた要因として、「彼女たちの理念は素晴らしいけど、『お母さん食堂』をターゲットにしたのは失敗だったかもしれません。世間に“言葉狩り”との印象を与えてしまった」と指摘する。

「例えば、紙おむつにも母親を連想させる名称がついた商品があり、『女性が育児するイメージを植えつける』など批判のしようはいくらでもあります。そもそも署名活動を行った女子高生たちを支援したガールスカウトは、男女両方が入会できるボーイスカウトと違って女性しか参加できません。それについても一部からは『矛盾している』と批判の声があがっているのも事実です」(前出・ライター)

 また、彼女たちのTwitterアカウント「食堂プロジェクト」がフォローしていた相手が偏っていることも批判のやり玉に挙げられている。上野千鶴子東大教授やコラムニストの小島慶子氏、女性のハイヒールやパンプスの着用を義務づけられていることに抗議する社会運動「KuToo」を行う石川優実氏など、ジェンダー問題の急先鋒と言われる論客、メディアばかりだからだ。そのせいかネット上にはジェンダー批判論者から罵詈雑言のような書き込みも多く見られた。

「ただし、賛否はありますが高校生でこのような問題提起をした行動力はたいしたもの。一連の騒動が報じられたことで考えるきっかけになった人も多いはずですし、それに関しては一定の効果があったと思います」(前出・ライター)

 なお、この問題についてファミリーマート側は「貴重なご意見」としているが、名称変更という話は今のところ聞かない。署名集めの再開やそれに代わる新たな活動を始めるのか、その点も含めて今後の動向を見守りたい。

(トシタカマサ)

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