昨年末、巨人はナショナルズに所属していたエリック・テームズ内野手の獲得を発表した。メジャー通算96発、14年から3年間、韓国球界も経験し、本塁打王のタイトルも獲得している。原辰徳監督は左打ちの強打者を探していたという。
「一発のある左打者、それも、守備位置は一塁とレフトの両方が守れるとの要望でした」(スポーツ紙記者)
原監督の要望通りのスラッガーが見つかったようだが、一塁、レフトという守備位置を聞いて、首を傾げたファンも多いのではないだろうか。一塁には2020年シーズンに復活を遂げた中島宏之がいて、左翼兼一塁というポジションなら、ウィーラーもいる。しかし、こうした主力選手と“被る”ということが、テームズ獲得のポイントだったかもしれない。
「テームズは19−20年オフ、ブルワーズからナショナルズに移籍してきました。ブルワーズでは対右投手用の代打、ナショナルズでは『プラトーン選手』の扱いでした」(米国人ライター)
プラトーン選手とは、先発投手が右投げか否かによってスタメン出場枠を分け合うプレーヤーのこと。いわば右投手の担当か、代打屋稼業だった。20年の成績は打率2割3厘、本塁打3、打点12。出場試合数も41にとどまっている。
「20年シーズン、阪神が獲得したジャスティン・ボーアも対右投手のプラトーン選手でした。ボーアは本当に左投手が苦手でしたが、テームズはそこまでひどくありません。米ファンにとっては『左投手が打てない』という認識が強いかもしれませんが…」(前出・米国人ライター)
巨人としては右打ちの中島、ウィーラー、そして、同じく獲得に向けて交渉中のジャスティン・スモーク(左投げ両打ち)とのプラトーン起用をイメージしているのかもしれない。しかし、こんな評価も聞かれた。
「テームズは韓国から復帰した17年、4月の1カ月間で11本塁打をマークしました。韓国に渡る前はパワー一辺倒のフリースインガーでしたが、米帰還後は選球眼も良くなり、持ち前のパワーにバットコントロールの良さが加わりました。巨人のコーチが指導すれば、大化けするかもしれません」(特派記者)
1年で阪神を自由契約になったボーアの二の舞か、それとも打撃開眼か? 原監督とコーチ陣のお手並み拝見といきたい。
(スポーツライター・飯山満)