偽情報が氾濫!イスラエルVSハマスの戦闘が「X離れ」を加速させている

 パレスチナ地域を実効支配するイスラム主義組織のハマスが行ったイスラエル南部への越境攻撃では、音楽フェスを襲撃する様子やイスラエルの民間人を拉致する映像がSNSに溢れ、現場の恐怖を知らしめて余りあるほどのインパクトを世界中に与えた。

 有事にSNSが非常に重要なメディアになり得ることは、ウクライナ戦争の例を引くまでもなくもはや常識だが、今回のハマスとイスラエルの衝突では、X(旧Twitter)に大いにケチがついている。

「最初の襲撃、そしてイスラエルが報復作戦に乗り出すと、現場の様子だとする様々な動画や画像がXに大量にアップされていますが、まさに玉石混交。事実が未検証のものや過去の画像を新しいものであるかのように加工したもの、中にはビデオゲームで使われた映像のキャプチャなんてものまでありました。それがXプレミアムの青い認証マークがついたアカウントから投稿されているのです」(ITジャーナリスト)

 Ⅹではこの月額8ドルのサブスク投稿がフィードの上位に優先的に表示されるため、真偽不明なものがまかり通る原因になった。アルジェリアの花火大会をイスラエルの反撃だと偽った映像や、サッカーのクリスティアーノ・ロナウドがパレスチナの旗を持った偽画像などだ。

 さらにはXのオーナーであるイーロン・マスク氏が10月7日のハマス襲撃の翌日の8日に、「この戦争をリアルタイムに追うには@●●●と@●●●のアカウントを見るといい」と投稿。ところがこの2アカウントはデマを広めることで有名なアカウントだった。後にマスク氏はこの投稿を削除したが、運営者でさえこんな調子なのだからなんとも心もとない。

 EU(欧州連合)でデジタル分野を担当するティエリー・ブルトン委員は10日に、マスク氏宛に違法コンテンツや偽情報への対策を講じるよう求める文書をXに投稿している。EUではさらに11日にMetaのマーク・ザッカーバーグCEOにも同様の書簡を送り、IT大手に対応を求める動きを拡大している。

「Xでは7月から投稿の閲覧数(インプレッション数)に応じて報酬が支払われる『分配プログラム』を採用しました。すると有名人への目に余るリプライ、トレンドワードを列挙しただけの投稿など、明らかにインプレッション数を増やして金を稼ごうという投稿が増加しました」(同)

 マスク氏に経営が移ってから様々なルール改変が行われたが、これを「改悪」と感じていたユーザーも多かった。今後は金稼ぎの場と化したXに、見切りをつける人も少なくないだろう。ハマスの襲撃は、Xの信用にも襲いかかったようだ。
 
(猫間滋)

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