阪神「外国人8人」は失敗!?「令和のバース」獲得に求められる大物OBの眼力

 トラの外国人選手の獲得基準について再考が迫られている。今季の阪神は12球団で最多となる「外国人選手8人体制」でスタートした。

「獲得する外国人選手に求めるのはホームラン。しかし近年は4番を任せられる大砲タイプを探してことごとく失敗。異例の8人体制となったのは、シーズン途中で新たに獲得するとなると良い人材が少ないうえにお金も掛かる。だったら最初から8人で……となったそうです」(在阪記者)

 この発想からすると、矢野阪神がレギュラーとして期待していたのはメジャーで90本以上の本塁打をマークしたボーア(写真)であり、サンズが“保険”となる。しかし、来日当初から「サンズがいちばん良い!」と予測していた阪神OBがいた。過去3回にわたって監督を務め、現在は甲子園歴史館の顧問を務める吉田義男氏である。同館のリニューアル会見で、記者団に阪神の新外国人選手について質問され、

「韓国でやっていた子が活躍すると思います」

 と、韓国リーグで打点王に輝いたサンズの活躍を予測。その根拠までは話していないが、9月30日時点で打率、ホームラン数ともにサンズがボーアを上回っていることから、まさに予想的中である。

「吉田監督で日本一になったのが1985年。その前年オフ、チーム内で掛布(雅之)の一塁コンバート案が浮上し、『一塁守備で重複するバースはいらない』という空気にもなりました。そのとき、バース残留を訴えたのも、当時の吉田監督でした」(ベテラン記者)

 吉田氏は外国人選手を見極める眼力があるのかもしれない。“令和のバース”誕生に向けて、「新たな助っ人を獲得する際は吉田氏にも相談したほうが……」なんて声も実際に出ているそうだ。しかし、こんな情報も聞かれた。

「吉田氏は2月にキャンプを訪れ、矢野燿大監督と会談しています。当時は新型コロナウイルス禍ではなく、東京五輪で中断するペナントレースをどう戦うかがメインテーマになりました。今季の混戦を矢野監督が予想し、吉田氏も同調していました」(球界関係者)

 ところが現状は巨人が独走状態。名将の予想が外れることもあるようだ。吉田氏が指揮を執っていた時代は球団の渉外担当者が足を棒にし、日本球界向きの助っ人を探していた。現在は代理人の売り込みを受けてから動き出すケースも多い。時代は変わった。日本一を経験した大先輩に助言を仰ぐ場面はあっても、「全面的に」ということはなさそうだ。甲子園施設内の歴史館に行けば、昔話も聞けるかもしれないが……。

(スポーツライター・飯山満)

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