トランプは監視対象に!「対中政策」で注目の「孔子学院」が日本で担う役割

 アメリカと中国、双方の総領事館が閉鎖されるなど、米中対立の先鋭化が懸念されるなかで、今度は「学校」までもが厳しい監視下に置かれようとしている。

 アメリカのポンペイオ国務長官は13日、「中国の政治的な宣伝を行っている」として、中国語や中国文化を教えている「孔子学院」について言及、運営資金の届け出を義務付けるなどして管理を強化することとした。

 孔子学院とは、中国が海外の大学などの教育機関と提携し、中国語・文化を教育・宣伝する機関。政府機関なので、中国共産党の影響下にあるとされる。現在アメリカには75カ所あると言われ、学院のホームページを見ると日本にも15校、2つの関連施設があるようだ。2005年に立命館大学と北京大学が提携して開設してからその数を増やし、有名どころでは早稲田大学、変わったところでは関西外国語大学、兵庫医科大学などにも開設されている。

「中国では国際的な影響力を高めるため、マスコミ機関を『喉と舌』となぞらえています。つまり『代弁者』という意味なんですが、文字通り中国の代弁を行うという位置づけなので、いわゆる『客観報道』を心がける西側諸国のマスコミ概念とは発想から異なるところがあります。そのため、トランプ政権では6月に、中国国営テレビの中央電視台(CCTV)や第2位の国営通信社である中国新聞社(CNS)など中国マスコミ4社を『政府機関』として規制の強化に乗り出しました。孔子学院はマスコミではありませんが、中国語や中国文化の学習を通じて、中国政府および中国マスコミに都合のいい聴衆を作り出す機能を持つとも考えられます」(中国事情に詳しいジャーナリスト)

 そういった事情から孔子学院にはこれまでも「諜報機関」、「プロパガンダ装置」、「スパイ組織」などのレッテルがしばしば貼られ、例えばイギリス与党がそういった趣旨の報告書をまとめたり、アメリカではFBIの捜査対象になったりしたことがある。

「ですが、具体的な工作活動の証拠が上がったことはありません。そもそも中国は自国の影響力強化には『浸透工作』を行うのでアリバイは残りにくい。孔子学院でも文化を浸透させることが目的なので、いわゆるスパイ工作的な行いは認められないと思います」(前出・ジャーナリスト)

 要は中国にとっては中国共産党の影響下にあって浸透が行われさえすればよく、他国にとってはそのヒモが付いていること自体が問題なのだ。教育は使い方によっては同化政策にもつながるからだ。中共(中国共産党)は日常から忍び込んでくる。だからこれを脅威として問題視するスウェーデンでは国会で懸念が表明されたほどで、続々と学院は閉鎖されている。アメリカでも既にそういう動きはあったが、今後はさらに水際からの浸透がチェックされることになりそうだ。

(猫間滋)

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