自宅で育てた野菜をネットで販売することで、収入を得る。いわば〝超スモール農園〟とも呼べるのが「家庭菜園」だ。広い庭がある家だけでなく、マンション住まいでもベランダを活用して運営できることから、誰にでも実施可能な副業として注目を集めているのだ。
ネット上で野菜を売る販路はさまざまだが、現在、最もオーソドックスなのがフリマアプリの「メルカリ」だ。
同アプリの特徴はメールアドレスとニックネームを入力するだけで登録でき、アプリ内からスマホのカメラを立ち上げ、商品写真を撮影することもできる出品の手軽さ。決済をアプリ運営会社が代行してくれるため、購入者に銀行口座を伝える必要もなく、匿名での発送も可能なため、取引でのトラブルを最大限回避することができる。
同種のアプリでみずから栽培した野菜を定期的に販売している四国地方在住の自営業者が語る。
「最近、フリマアプリで特によく売れる野菜はミニトマト。だいたい100g100円強の相場で、いつもあっという間に売り切れますね」
自宅の庭で、トマトのほかネギ、オクラ、パセリなどを育て、ネットで月に平均1万5000円程度を売り上げているという。同氏が続けるには「質の高い野菜を出品していれば、半年もすればリピーターができる」。安定した利益を出すにはコツがあるようで…。
「相手の目を引き、買ってもらうための工夫が重要。いちばん大事なのは『画像の見栄えのよさ』。パックに詰めて、そのまま撮るのではなく、新鮮さを強調する必要がある。トマトの場合だと〝ドアップ〟で数個を撮った画像が最も有効です」(同前)
さらに「産地情報」も顧客獲得につながるようだ。
「出品の文面に『○○県××市で栽培しました』と書いておくだけで、信頼度が増してイメージも膨らみ、売れ行きが全然違いますよ」(同前)
フリマアプリに加え、「独自の通販サイト」も有効な販路の一つ。イチから通販サイトを構築して決済の手続きも全て行うため、ある程度の手間はかかるものの、メリットは大きいようだ。前出の自営業者が語る。
「『メルカリ』の場合、売れるごとに10%の手数料がかかるため、より大きな規模で野菜を販売する人にとっては自分でサイトを作ったほうが儲かるんです。私の知人でも本格的に通販サイトを作っている人間が何人かいますね」
こう聞くと、いかにも大がかりな印象だが、近年はパソコンのブラウザ上でネットショップが作成可能なサービスも登場。サイト作成サービス「Wix(ウィックス)」の場合、月額1000円台で独自の通販サイトが持てるという。
規模に応じて販路を変えるのが「家庭菜園」で儲ける要点なのであった。
(もとおり・ひろゆき)