米疫病対策センター(CDC)が発表した驚きの調査結果が「ありえない」と日本で物議を醸している。同センターの発表によると6月7日までに、米国民の約3分の1が新型コロナウイルスの予防策として健康に支障を及ぼしかねない洗剤の誤用をしているという。主な事例に、「洗剤による食品の洗浄」「洗剤を使ったうがいや吸入」「家事用の洗剤や殺菌剤などを用いて身体を洗う」などがあった。同センターは洗剤のこういった使用方法を一切薦めてはいない。
困った事に、「洗剤でうがい」などの特出した事例だけでなく、アメリカでは一般的な洗剤溶液に対する誤解を多くの人が持っているということも調査によってあらわになった。「漂白剤の溶液を薄めるのに通常の室温程度の水だけを用いる」という、ごく一般的に知られていなければならない使用方法についても、きちんと把握していたのはたったの23%であった。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、洗浄する機会が増えている中で、同センターは洗剤の注意事項を使用の度に読む事を助言。洗浄する際は手袋や他の防護具を使い、違った種類の洗剤を混ぜてはいけないことも勧告している。
新型コロナウイルスを徹底的に予防したいという想いと理解度の低さが招いてしまった危険すぎる洗剤の使用方法に、日本のネット上では《3分の1の人がそんな勘違いをするなんて…洗剤をそんな使い方したら危ないって気づくでしょ普通》《これが麻生さんが言ってた“民度の違い”かな》と米国の洗剤に対する知識のなさを指摘するコメントが多く見受けられた。
しかし“歴史的パンデミック”と呼ばれるほどの緊急事態下において、人々が誤った判断をしてしまったり、デマや風説の流布をまともに捉えてしまうケースは少なくない。日本人にとっても他人事ではないのだ。
今年3月初旬、コロナウイルスの存在が日本でも脅威とされはじめ、様々なガセネタやデマ情報がネットの海を飛び交った。そんな中、フリマアプリやネットオークションで続々出品され、高値での取引が行われていたのが「花崗岩」。なんの変哲もない石がなぜ高額で売買されたか、それは人々がなんの根拠もない嘘情報を信用してしまったからである。「花崗岩をお風呂に入れると放射線が出て免疫を高める」「花崗岩から出る放射線はどんなものでも通過するので、体内のウイルスを死滅させる」という、少し考えればデマだとわかりそうな根拠のない情報を鵜呑みにし、石を買ってしまう人が大勢いた。藁にもすがりたいという言葉があるように緊急事態においては科学的エビデンスのない情報でも、人々は信用してしまうのだ。
今、日本人に必要な事は、洗剤の誤飲を馬鹿にする事ではなく、教訓として、未知のウイルスに関する「正しい情報」を取り込む努力をする事だ。
(浜野ふみ)