プロ野球12球団の協議が進めば、ペナントレースの優勝予想も大きく変わってきそうだ。NPBは6月10日、選手会側とオンラインで事務折衝を行い、今シーズンの「特別ルール」について、合意が得られたと各スポーツメディアが報じた。外国人選手の登録枠が5人に増えることで、優良外国人選手を抱えたDeNA、阪神などはこの「特別ルール」の恩恵を受けることになりそうだ。もっとも、正式決定は12球団の協議、同意を経てからの話になりそうだが…。
「9日、阪神は『マルテ・ボーア・サンズ』のクリーンアップを組み、さらにエドワーズ、スアレスの2投手もテストしました。ガンケル、ガルシアの両投手は一軍当確が伝えられているのにもかかわらずです。DeNAも7日の日本ハムとの練習試合で3人の外国人野手と2人の外国人投手を使いました」(スポーツ紙記者)
通常、外国人選手の一軍登録は4人まで。NPBは連戦による負担軽減のため、試合出場登録数を29人から31人に増やそうとしており(ベンチ入り人数は25人から26人に拡大)、それにともない、外国人選手の登録枠も5人に拡大するというわけだ。もっとも、出場する選手は4人以内となりそうだが、とくにDeNAはこの特別制度で確実にパワーアップする。ソト、ロペスにメジャー4球団を渡り歩いたオースティンを加えたまま、昨季チーム最多登板のリリーバーのエスコバー、先発候補の新加入・ピープルズの両投手が使える。この外国人選手枠の拡大案についてはかなり早い時期から検討されていた。6月19日の開幕直前まで折衝に至らなかった理由は、選手会側にあったという。
「外国人選手の試合出場枠が拡大されたら、日本人選手の出場機会が減ると選手会側は捉えていました」(球界関係者)
また、今季は開幕戦が約3カ月遅れたので、ペナントレースの試合数も当然減ることとなる。フリーエージェントの取得日数、個人タイトルの価値など選手の査定に直接影響してくる内容も多く、これらの特例についても経営サイドと話し合わなければならない。
今さらだが、FA権の「1年」とは、一軍の出場登録日数が145日。試合数が減るので、この145日の日数を今季に限り、減らして「1年」にカウントしてほしいというのが、選手会の要望だという。
「一軍の試合出場登録の日数はFA権の取得につながっていきます。登録選手数が増えれば、FA取得の日数をカウントできる選手も増えます。ベンチ入りメンバーの枠を増やしたことで、選手会が外国人選手枠についても同意したという見方ができます」(前出・球界関係者)
一軍試合出場の人数枠そのものが増えるので、選手層の厚いチームが有利となることに変わりはない。今季は資金力も見据えて優勝予想をしなければならないようだ。
(スポーツライター・飯山満)