昨年は小惑星リュウグウから地球帰還に向けた「はやぶさ2」の出発、今年に入り5月31日にはアメリカによる有人ロケット打ち上げ成功、さらに年内の日本の次世代基幹ロケット「H3」の試験機初号機の打ち上げも計画されており、宇宙への関心が高まりつつある。
そうした中、6月10日、ローソンは人気フードメニュー「からあげクン」をフリーズドライした開発商品が、日本の国立研究開発法人である宇宙航空開発機構(JAXA)から正式に宇宙日本食として認証されたと発表した。宇宙日本食とは、宇宙食としての基準をクリアしているとされる日本食である。商品名は「スペースからあげクン」。コンビニのオリジナル商品としては初めての宇宙日本食となる。店舗での販売は予定されていないという。
「宇宙兄弟」の大ファンで宇宙マニアのライターに、最新の宇宙日本食事情について話を聞いた。
「まず、宇宙日本食という名称で誤解されがちなのですが、日本伝統食に限定されているわけではありません。日本の家庭で普段から食されているという範囲です。認証までの基準や審査はかなり厳しいことで知られています。安全性や衛生、栄養素やカロリー、重量、長期保存の他に、無重力状態で食べたときに飛び散らないなどの食べやすさも重視されます。宇宙船の中の空気は貴重なものですから、食物の粉末や残滓での汚れは最小限に抑える必要があります」
今回、ニュースになった「スペースからあげクン」の他には、どのような宇宙日本食が認証されているのだろうか。
「白米、赤飯、山菜おこわ、鮭おにぎりなどが宇宙食として製品化されていますが、日清食品のラーメンが3種類、それにハウス食品のカレーも3種類が認証を受けています。珍しいところでは、愛媛の食品メーカーが開発したアジの干物。これは干物では日本初の認証となったことでメディアでも大きく取り上げられました。調味料も豊富で、“キッコーマン宇宙生しょうゆ”やキューピーマヨネーズもリストに加わっています。特筆すべきは、サバの産地として知られる福井県にある高校で、教師と生徒がおよそ12年かけて開発し、2018年に宇宙日本食に認証された“サバ醤油味付け缶詰”ですね。どうやら宇宙では味が薄く感じられるようで、JAXA側から『もう少し味を濃く』といった注文があって、味に改良を行うなど、認証までに何度も試行錯誤を重ねたようです」(前出・ライター)
高校生が開発した宇宙食…夢のある話だ。その他、飲み物やお菓子はどうだろう。
「粉末タイプですが、緑茶、ウーロン茶、森永ミルク、イオンドリンクなどあります。お菓子は亀田の柿の種やピーチゼリー、羊羹、ロッテのキシリトールガム、黒飴、味覚糖のミルクキャンディ、グリコのビスコもあります」(前出・ライター)
まるで家庭の食卓と変わらないではないか。宇宙日本食の中には一般に通販で買えるものもある。新型コロナによる緊急事態宣言で巣ごもりを余儀なくされた家庭も多かったが、非常食としても役に立ちそうだ。
(オフィスキング)