《足立区に鹿が出没!? マジか》《荒川には鹿浜橋があるからそこを目指していたのかも》《この間は品川区で馬が脱走したけど今回は鹿か》などなど、6月2日の「鹿騒動」を受けて、ネット上でこんな声があふれた。実際、民放各局のカメラは、荒川土手に出没した一匹の鹿の姿をとらえ、多くの警官たちが出動した捕獲作戦の模様とともに伝えていた。
この野生動物の出没に、足立区は公式ツイッターで、「本日(6月2日)午前8時35分頃、新田1丁目荒川河川敷付近において、鹿(体長約1.5m)が目撃されました。今後、住宅街に出没する可能性もありますので、ご注意ください。また、鹿を見かけた場合は、むやみに近寄らず、警察(110番)に通報してください」と警戒を呼び掛けている。
まさか東京23区で野生動物が目撃されるとは……。足立区に鹿が現れた理由について、動物の生態に詳しいジャーナリストは「緊急事態宣言が発令されてからは全国各地の住宅街で鹿やサルなどの野生動物が目撃されています。これは緊急事態宣言によって、街中の車の交通量が減ったため、動物が警戒しなくなったのがおもな原因と見られています。しかし今回は、緊急事態宣言が解除されて、ほぼ“平常運転”に戻ったさなかでの出来事ですからね。なんとも不可解です」と首をかしげる。だが、この鹿に先駆けて、ある動物が足立区内で目撃されていたという。
「じつは足立区に野生動物が出没したのは今回が初めてではありません。昨年12月には同じく荒川河川敷でイノシシが目撃されています。イノシシが出没した原因については諸説ありますが、2019年の台風や豪雨災害によって、すみかをなくしたイノシシが、餌が豊富にある場所を求めて荒川上流域の秩父エリアから川を泳いで下ってきたという説が有力と見られました。ちなみにイノシシが出没した際は区の職員や警察官が捜索にあたり、2日ほどかけて捕獲に成功しています」(社会部記者)
イノシシ、鹿ときてパッと頭に浮かぶのが、クマの存在だ。今回の鹿も昨年のイノシシも荒川の源流域として知られる埼玉県西部の奥秩父から、荒川をくだるように23区内へ侵入したと見られているが……。
「5月25日には、はるか上流の秩父市荒川の中学校付近でクマが目撃され、地域住民は警戒心を募らせています。秩父市のホームーページによれば、5月に入って市内でクマの目撃情報が3件も寄せられています。これには同市もサイト上で《万が一、クマが襲ってきた場合には、すばやく地面の窪みや岩陰にうずくまり、両手で頭部や首をガードしましょう。頭部挫傷や首の裂傷などは致命傷となりかねません》とその対処法をレクチャーしているほど。やはり、今回の鹿の出没についても、わざわざ人のいる危険な下流域に姿を見せたのは、秩父山中に何かしら大きな異変があったためと考えるのが妥当かもしれません」(前出・ジャーナリスト)
ちなみに、秩父市内で目撃されているクマは、臆病でおとなしいツキノワグマと見られている。とはいえ、「東京23区にクマ出没!?」なんてニュースが流れないことを祈るばかりだ。
(倉田はじめ)