新型コロナウイルスによる日本の死者は欧米に比べると圧倒的に少ない。
だが、その一方で不良品のアベノマスクをあらためて検品するのに、血税8億円をポイ捨てである。国家の危機に緊張感ゼロの布マスク姿で臨む我が国の総理は、世界各地で嘲笑のターゲットにされていた。
「あまりに小さく、遅い」
英国BBC放送が痛烈に批判するのは、いまだに全国民のもとに配達されないアベノマスクのことではない。安倍晋三総理(65)みずから「我が国が世界で最も手厚い」と虚勢を張るコロナ対策についてなのだ。
国際ジャーナリストの山田敏弘氏が、世界のメディアの冷ややかな安倍評価について説明する。
「災害など国家的危機にこそ政治家の真価は問われます。未知の新型コロナウイルスの対策はどの国も手探りですが、国民の不安をできるかぎり払拭するよう説明し、納得させながら進めることが大事です。その点に関して、世界のメディアは日本の対策には完全にNOという評価を下しています」
国内では、アベノマスク、1家族30万円から一転、1人10万円に変更した給付金、自宅で犬とくつろぐ動画。不評3点セットで国民からごっそり不信の集中砲火を浴びた安倍総理だが、世界のメディアからも同様。決断力を欠いた、行き当たりばったりの政策に批判が集中しているのだ。
4月27日付の豪州放送協会ABCでは、マスクを着けて国会答弁に立つ安倍総理を写真付きで紹介し、
「30万円が10万円に変わるなど、対策全てが後手後手で決断力がない」
と、「アベノタイサク」を一刀両断するばかりか、「緊急事態の要請にとどまったのは、経団連に屈し、ビジネスを優先したからだ。彼は歴代最長の総理だが、評判は歴史的にかなり傷ついた」と、歴史に残る不名誉な宰相だと酷評している。
一方、欧米に比べ日本では感染者数を増やしていないことの原因については、「日本国民は握手やハグをする習慣がない。また、ふだんからマスクをすることにも慣れている。世界に比べて、医療や保険制度が行き届いており、現日本政府の対応のおかげではない」とまで断じている。
また、初動の気の緩みを指摘するメディアもある。
「ドイツ国営放送DWは『安倍政権は深刻さが欠如している』(4月15日付)と五輪開催を優先したことを批判しています」(前出・山田氏)
米ニューヨーク・タイムズ紙には、上智大学・中野晃一教授(政治学)が「感染拡大への日本政府の対応は驚くほど無能だ」とのコキ下ろし論評を寄せる始末。
さらに手厳しいのは、米ワシントン・ポスト紙だ。4月21日付の記事では日本のPCR検査数が少ないことについて、
「アベは強いリーダーではなく、感染症に振り回されている。圧倒的に検査が少ない。やると言って数を増やさないのは、実際の数字を知るのが怖いから。感染者数が増えることにおびえている」
と、安倍総理の心理を鋭く分析し、容赦なくブッタ斬っている。そればかりか、安倍政権の対応を、あの9年前の惨事になぞらえるのだ。
「11年の東京から150マイル離れた福島原発での危機では、放射能のリスクを過小評価して見せたが、今回のコロナ対応はそれに奇妙なほど似ている」
もちろん、当時の政権を「悪夢のような民主党政権」と揶揄する安倍総理にすれば、同格に扱われることがアホノマスクのそしりを受けるよりも無念に違いない。
「海外メディアは、安倍政権が感染症を抑え込むよりも他のことを優先していると批判している。説明責任を果たさない安倍政権の特性がまさにコロナ禍で浮き彫りとなりましたね」(前出・山田氏)
世界から「無能」とレッテルを貼られた安倍政権では、五輪開催も危ぶまれる。