早稲田大学が新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮している学生に対し10万円を緊急支援する方針を打ち出すなど、コロナ禍に対する大学の対応が話題になっている。
「明治学院大学が4月21日に在学生全員に5万円を支給すると公表、それを受けるような形で明治大学や上智大学などがオンライン授業を受けられるようにWi−Fiルーターを無償で貸与するなど、各大学で支援の動きが広がりました。現在では、100以上の大学で支援金を支給するなどとしています」(経済ジャーナリスト)
大学の学生支援策では「授業料の減免」にまで踏み込んだ大学はなく、一時的な措置との意図もうかがえるが、4月1日から始まった「大学無償化」では減免が行われるかもしれない。27日の会見で菅義偉官房長官がこれに言及、「(コロナでの)家計急変を加味する」と発言したのだ。
いわゆる「大学無償化」は、高等教育(大学、短大、高専、専門学校)の授業料が、世帯収入の多寡とその状況に応じて、支給上限額の「満額、2分の1、3分の1」の3段階での給付奨学金の援助が得られるというもの。在学生でも現在高校3年生の学生でも、申請に応じて来年の4月から支援が開始されるが、この審査にコロナの影響を加味するという。
大学の支援にせよ国の施策にせよ、教育に悪影響が及ばないよう配慮すべきというのは歓迎されるべき動きなのだが、一方、海の向こうではあの一流大学が吊るし上げに。
「トランプが4月21日の会見の場で、『ハーバード、お前は金返せ。私はハーバードにあの金を返させたいんだ、分かるか?』と述べて話題になりました」(前出・経済ジャーナリスト)
「あの金」とは、トランプが先月に打ち出した日本円で約240兆円にもおよぶ景気刺激策の予算だ。その中、ハーバード大学には約9億円の公的支援が充てられていたのだが、同大学は世界中から莫大な寄付金が寄せられることで有名。だから、「そんな金をやる必要はない」というわけだ。
ハーバード大学は当初、「小規模事業者救済のための資金を受け取るのではなく、受け取った金額はコロナで困窮に陥った学生の支援に使う」と、意に介していなかったが、結局は折れて辞退することになった。
国を問わず、国難で教育にかける金の金議論が云々されているわけだが、これを機に大きな制度変更をしてしまおうという動きも現れている。
4月27日に国民民主党が学校の入学や始業時期を9月にずらすための検討会を開始、日本維新の会も同様の提言をまとめている。
「あらゆるところから『9月入学案』が持ち上がって岸田文雄政調会長もコメントするなど、自民党内にも前向きに受け止める向きがあるようです」(全国紙記者)
これを受け、4月28日には荻生田光一文科大臣が「1つの選択肢」と述べたが、この人が言うと英語の民間試験の見送り騒動が思い起こされるのが悲しいところだ。
(猫間滋)