口は禍の元というが、相手のウィークポイントを突いたつもりが、皮肉にも自分の首を絞めてしまう結果になってしまうとは……。
25日(日本時間26日)、ホワイトハウスで開かれた米共和党大会で、トランプ大統領の応援演説にたったメラニア夫人(50)。そんな夫人の演説に外国なまりがあるとして、米女優ベット・ミドラー(74)がツイッターで噛みつき、《オー、ゴッド! この人まだ英語がしゃべれないわ》と嘲笑。さらには《あんたはラッキーなスロベニア人! でも、たくさん手術をしたのに、ちょっとくじ運が悪かったね。あんなデカいうすのろに捕まったんだから》と、言い放った後、《あの不法外国人を壇上から引きずり下ろせ!》と畳みかけた。米在住のジャーナリストが語る。
「メラニア夫人はスロバキア出身で、96年に米国に移住、05年にトランプ氏(74)と結婚し、翌年に米国籍を取得。たしかに母国語が英語ではない史上初のファーストレディーとして、トランプ氏就任当時は各メディアがセンセーショナルに報じたのは事実。一方、ベットは過去にゴールデングローブ賞を4回受賞。エミー賞3回、トニー賞3回に加え、歌手としても3度のグラミー賞を獲得するハリウッドを代表するカリスマアーティスト。ただ、彼女は“反トランプ”の急先鋒としての顔があり、実際、3年ほど前からは、トランプ政権の政策や公式声明を厳しく非難するツイートを連日複数回投稿しています。とはいえ、トランプ氏の人種差別とも受け取れる数々の発言が問題視されているなか、さすがに《不法外国人を壇上から引きずり下ろせ!》はマズかったですね。この発言に反トランプ派の中からも『これでは、トランプを人種差別主義者と呼べなくなるではないか!』といった批判の声が湧き起こってしまったんです」(米国在住ジャーナリスト)
結果、強気のベットも26日のツイッターで《誤った発言だった。米国ではあらゆるアクセントの人が歓迎される》と緊急謝罪。まさに「口は禍の元」を地でいくような出来事だったわけだが、前出のジャーナリストによれば「ことはそれだけに留まらない」というのだ。
「投票日まで残り約2カ月となった米大統領選の世論調査では、現在民主党のバイデン前副大統領にトランプ氏がリードを許しているという数字が出ています。ただ、トランプ氏は4年前のクリントン元国務長官との一騎打ちの時も、支持率では圧倒的劣勢の中、逆転勝利している。その理由は、誰に投票するか未定という浮動票が多かったためで、4年前も、その多くが終盤でトランプ氏に流れたとされています。つまり、どっちつかずの人々は、陣営のわずかなミスで、いとも簡単に寝返る。そして、今回のベットの発言がメラニア夫人の同情を買い、それにより『隠れトランプ支持者』を増加させたことは間違いないということです」
よく「選挙は水物。何が起こるか誰にもわからない」と言われるが、その人気や支持率が乱高下するのはいつものこと。米大統領選の投票まで残り2カ月ちょっと。両陣営ともに、しばらくは、隠れトランプ支持者たちの動向から目が離せないだろう。
(灯倫太郎)