巨人獲得のサンチェスが大化けした韓国の「公式球事情」

 アメリカの野球情報サイト「トレート・ルーマーズ」が、巨人と韓国プロ野球SKワイバーンズからフリーエージェントとなっていたアンヘル・サンチェスの契約について報じた。

 米野球の専門サイトが関係のないトーキョージャイアンツの補強事情を伝えた理由だが、どうやらサンチェスのもとにはメジャーリーグ数球団からオファーが届いていたようだ。
 
「サンチェスはマイナーを転々とし、16年にはトミー・ジョン手術も受けています。アメリカではパッとした成績は残せず、18年から韓国に渡りました」(特派記者)

 韓国球界に渡った18年シーズンも、大した成績は残せなかった。ところが、19年シーズンに大化け。17勝5敗、シーズンの被本塁打数は、たったの2本。防御率も2点台だ。平均球速150キロ強のストレートを原辰徳監督は絶賛したというが、この人が変わったような活躍の陰には「韓国のボール事情」も隠されていた。

「18年、韓国プロ野球では過去最多となる1756本のホームランが記録されました。もともと『打高投低』の傾向があり、19年から試合公式球の反発係数を落とすことに。すると19年は1014本に。700本以上も本塁打数が減ったのです」(特派記者)

 サンチェスも18年シーズンは26本のホームランを献上している。まさにボールの材質変更の恩恵だが、こんな声も聞かれた。

「巨人も韓国球界の公式球について調べ直したようです。『反発係数0.4132以内』は、日本の公式球とほぼ同じ数値ですが、『信頼できる調査結果なのか?』と疑う声もありました。突っ込んで調べてみたところ、韓国球界が調査依頼したのはNPBの公式球の検査機関である日本車両検査協会だと分かりました」(球界関係者)

 米球界も反発係数の数値が信頼できると分かり、獲得に本腰を入れたようだ。

「19年シーズン、韓国球界から米ダイヤモンドバックスに移籍したメリル・ケリーは、13勝14敗の好成績を残しました。ケリーは2年総額550万ドル(約6億円)で帰還しています。サンチェスにもメジャー球団から、同額か、それ以上の年俸額が提示されたはず」(在米ライター)

 巨人との契約内容だが、「2年契約、推定年俸3億4000万円」。初年度の年俸額では球団史上最高となる。トレート・ルーマーズは「メジャー帰還よりも少ない年俸」と伝えていたが、マネーゲームに巻き込まれた以上、巨人は当初の獲得予定額よりも積んだのではないだろうか。

 反発係数、米球団との争奪戦…。「親日家であることが決め手になった」との日本国内の報道もあった。韓国の公式球を調べたのが日本の調査機関でなければ、サンチェスはビッグマネーをゲットできなかっただろう。親日家の意味が違うんじゃないか?

(スポーツライター・飯山満)

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