フィギュアスケートのグランプリファイナル(イタリア・トリノ)で、ロシアの16歳・アリョーナ・コストルナヤが世界最高得点で優勝。2位には15歳のアンナ・シェルバコワ、3位に同じく15歳のアレクサンドラ・トルソワが入り、表彰台をロシア勢が独占。世代交代の波を見せつけた。日本の紀平梨花はフリーで果敢に4回転に挑むも4位に終わった。
今後どこまで記録を伸ばすのか、末恐ろしいぐらいの新興ロシア勢の躍進だが、女子選手には必ず“壁”が来るというOGや専門家は多い。
2011年6月10日付の日本経済新聞に興味深い記事がある。「フィギュア・体操…17歳は女子選手にとり『魔の年齢』か」というものだ。同紙はフィギュアスケーターの安藤美姫に取材し、彼女の17〜18歳時の変化について伝えている。
全日本選手権を2連覇していた安藤は、17歳で迎えた同大会で6位に落ち込み、翌年に迎えたトリノ五輪では15位と低迷した。安藤は不調の原因として「体の変化」を挙げている。どんなにダイエットしても痩せなかったという。
同紙によると、17歳ごろの女子には「体型変化」が大きく現れるという。胸、ヒップ、太腿の部分に脂肪が多く付く。脂肪は男子より増えるのに、筋力は男子選手ほどに増えない。これが体操やフィギュアなど、芸術性採点競技に影響をあたえるのだそうだ。またこの年頃は、伸び盛りで単に演技が楽しい時期から、競技者として戦うプレッシャーと対峙しなければならない精神的変化もある。トップ選手であればなおさらだ。
今回のGPファイナルで最下位に沈んだ平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワも、少女から女性らしい体に変化したことで「戦うのが大変」と指摘するOGの声もあった。そのことは女王エフゲニア・メドベージェワにも当てはまるだろう。
底なしのポテンシャルを見せつける「ロシア3人娘」だが、彼女たちが17歳の壁をどう乗り越えるのかにも注目だ。