「NHKは沢尻エリカに賠償金を請求できない」報道が民放の追い風になるワケ

 薬物所持で警視庁に逮捕された沢尻エリカ容疑者に対して東京地検は11月26日、12月6日まで勾留期限を10日間延長する決定を行った。その一方で沢尻容疑者が裁判に臨むことなく、不起訴に終わるのではとの報道も散見されるようになっている。

「警視庁が沢尻の尿検査を行うも結果は陰性に。これで薬物使用の罪に問えなくなった可能性があり、逮捕容疑の所持に関しても自宅から発見されたカプセルは2個合わせて0.198グラムと微量な薬物で、自分のものではないと主張しているとの情報もある。そのため自己使用の目的がなく常習性が立証できなければ起訴猶予になる可能性も報じられています」(週刊誌記者)

 これにより一転して窮地に立たされているのが、20年1月スタートの大河ドラマ「麒麟がくる」に沢尻容疑者を起用していたNHKだという。NHKでは逮捕報道を受け、濃姫役だった沢尻容疑者の降板を決定。収録済みの10話分を撮り直すことになり、その損害を沢尻容疑者側に賠償請求すると報じられていた。ところが起訴猶予となった場合、NHKでは損害賠償を請求できなくなるかもしれず、むしろ薬物関連の噂があった沢尻を起用した責任を問われる恐れすらあるというのだ。

 そんなNHKを巡る報道に、民放各局がほくそ笑んでいるという。沢尻容疑者の一件により、NHKは再収録や再編集で数億円もの追加支出を迫られるはず。そして沢尻容疑者に賠償請求できないとなれば、その支出は受信料で賄われることになる。その影響についてテレビ誌ライターが耳打ちする。

「NHKはいま、『インターネット常時同時配信』を巡って総務省と駆け引きの真っ最中。総務省ではNHKに対して《業務、受信料、ガバナンスの「三位一体の改革」が求められる状況》と指摘しています。そこにきて今回の沢尻降板は、業務・受信料・ガバナンスのすべてに影響を与えることになり、NHKにとっては大河ドラマ一作品には留まらない大打撃。一方でNHKのネット進出を阻止したい民放各局にとっては追い風となりました」

 民放サイドではNHKのネット分野拡大が民業圧迫に繋がると主張しており、総務省とも足並みがそろっているという。どうやら今回の沢尻容疑者を巡る一件は、テレビ業界や総務省まで巻き込んだ一大トピックに発展するのかもしれない。

(北野大知)

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