女児盗撮グループのおぞましい行為、「日本版DBS」導入で性犯罪教師は一掃できるか

「これまでの勤務態度は特に問題はなかった」「子供たちから人気があり、同僚からも信頼される先生だった」--。教師による不祥事が起こるたび、学校関係者の口から何度も聞かされてきたお決まりの文句だ。

 たしかに、公立小学校の教員採用試験の倍率が、自治体によっては1.2倍にまで低下しているといわれる昨今、教師の質やモラル低下は避けられないのかもしれない。とはいえ、さすがに今回の事案は吐き気がするほど不快極まりない。

 女児の肌着を盗撮し、画像や動画をSNS上のグループに投稿、共有したなどとして、名古屋市と横浜市の教員の男2人が、性的姿態撮影等処罰法違反の疑いで愛知県警に逮捕された。グループのメンバーらは、これらの動画や画像の共有に秘匿性の高いSNSを使用していた。

「捜査関係者によれば、チャット内で確認された動画や写真は70点にのぼり、これをグループの教員らが『いいですね』『こんな機会があってうらやましいです』などと褒めあっていたことも確認されています。映像すべてをメンバー自身が撮影したかどうかは現在調査中ですが、中には学校行事で撮影されたとみられるデータもあり、そうなると校内に隠しカメラを仕掛けた可能性もある。県警は押収資料を分析し、実態解明を進めています」(社会部記者)

 しかも、今回の犯罪が発覚した経緯がまたおぞましい。というのも、グループの存在が明らかになったのは、名古屋市の小学校教員が別件で逮捕されたことがきっかけだった。

「この小学校教員は今年1月、名古屋市の駅のホームで15歳の女性のリュックに体液をつけたとして逮捕・起訴されましたが、ほかにも児童の楽器や小学校の給食の食器に体液をつけたなどととして、器物損壊罪などで起訴されている。警察が押収したスマホを解析したところ、男が所属するこのグループの存在が明らかになったというわけです。このグループには10人近い教員が参加していると見られ、そうなると今後、芋ずる式に教員の逮捕者が続出する可能性もありますね」(同)

 今回逮捕された1人、名古屋市立小教諭の男は「主幹教諭」という教頭に次ぐ役職にあり、広沢一郎名古屋市長も記者会見で、「謝っても謝りきれない。立て直しに向けて、市役所総ざんげで臨むしかない」と平身低頭だったが、

「名古屋市では昨年来、児童福祉施設職員らによる入所児童らへのわいせつ事件が立て続けに発生しています。それを受けた有識者の再発防止検討会が、ちょうど今月23日に報告書をまとめたばかりでしたからね。市長は『性善説ではもうやっていけない』として、教員対象の調査を実施するとしていますが、どの程度効果が期待できるのかは疑問ですね」(同)

 近年、教育や保育の現場での子どもを狙う性犯罪が増加していることを受け、政府は昨年6月、子どもに接する仕事に就く者について、性犯罪歴の有無を事業者がこども家庭庁を通じて確認する「日本版DBS」の導入を成立させた。運用は来年12月から始まる予定だ。対象となる犯罪は不同意性交罪や児童ポルノ禁止法違反はもちろん、痴漢や盗撮といった条例違反も含まれる。

「ただし、法律上の認可を受けた学校や認可保育所などは確認義務の対象となりますが、放課後児童クラブや学習塾などの民間事業者は任意。しかも、痴漢や盗撮で逮捕されても、被害者との間で示談が成立するなどして不起訴となった場合は、照会の対象にならないこともある。つまり、この制度がどれほど実効性を持つのかは未知数だということです」(同)

 たしかに、「日本版DBS」導入によって起訴された事案については、こうした性犯罪歴教師を教育現場から排除できるかもしれないが、グレーゾーンにいる教師たちを今後、どう事前に見極めていくかは大きな課題となるだろう。法律は運用次第でどうにでもなりうる。教育関係者には、いま一度原点に立ち戻り、子どもたちをこれ以上「大人不信」「教育不信」に陥らせないよう、踏ん張ってほしいと願うばかりだ。

(灯倫太郎)

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