FA鈴木大地はなぜ巨人を蹴って楽天入りしたのか?

 鈴木大地の東北楽天ゴールデンイーグルスへの移籍に「なぜ!?」の声が集まっている。

 千葉ロッテの現職の選手会長だった鈴木がフリーエージェント権を行使した理由は、「便利屋稼業」への不満だったと伝えられる。今季は主に一塁手として出場していたが、チーム事情により、三塁、左翼の守備に入ることもあった。

「スタメンが発表されるまで、どこを守るのか分からなかったとも聞いています。まあ、あくまでも鈴木サイドから出た情報ですが」(スポーツ紙記者)

 巨人は阿部慎之助の引退で左バッターが少なくなることもあり、鈴木にアタックした。鈴木はその巨人を振って、楽天入りを決めた。ところが、である。今度は楽天サイドから「アレ!?」と思うような話も出始めたのだ。「選択肢が広がった」と…。

「ドラフト1位の小深田大翔に対し、三塁でスタートさせることを示唆しました。三塁にはウィーラー、指名打者のブラッシュは打線から外せませんが、一塁の銀次の調子を見て、使い分ける構想です」(球界関係者)

 セカンドには浅村栄斗、ショートには茂木栄五郎がいて、こちらも外せない。小深田が入っただけで内野のレギュラー争いが熾烈化したのに、さらに鈴木が加わるとなれば、余剰人員が出るのは必至。レギュラー争いは外野にも飛び火しそうだが、こちらも田中和基、島内宏明、オコエ瑠偉らがいて、昨年ドラフト1位の辰巳涼介もスタメンから外される日もあるくらいだ。

「小深田は24歳の社会人内野手の即戦力ですから、優先して使われる思われます。すると鈴木のポジションは転々とするか、控えの切り札ということもある。たしかに楽天はレギュラーと控えの実力差が大きいのが弱点でしたが」(前出・スポーツ紙記者)

 鈴木、小深田はともに右投左打。鈴木の便利屋稼業は楽天に入っても終わらない。いや、むしろ激化したと言っていい。ならば、引退後の補償もされるといわれる原巨人を選択すべきだったと思うが…。

「鈴木の退団の背景に、某コーチとの衝突も囁かれています」(同前)

 見返してやるために同リーグの楽天を選んだのか? 来季の両チームの対戦が面白くなってきた。

(スポーツライター・飯山満)

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