空いたスキマの時間を使って効率的にカネを稼ぐには――。さまざまな副業術を指南する本連載、第2回は「並び屋」だ。
文字どおり、クライアントに代わって行列に並ぶアルバイト。人気コンサートやプロ野球のチケットが、ネットでの販売および抽選に移行しつつあるが、今もニーズはあるようだ。
並び屋バイトを始めて2年という30代会社員が言う。
「時間帯はやはり早朝が多く、出勤前の1〜2時間をうまく活用して月に10万円稼げることもあります。土日の依頼も多く、サラリーマンにはうってつけの副業だと思います」
それではどうやって仕事をゲットすればいいのか。
スマホで「並び屋」「代行」と検索をかけると、さまざまな便利屋がヒット。中でも並び屋に特化した業者のサイトをのぞくと、「アルバイト募集」のページにたどりついた。そこで「名前」「メールアドレス」「携帯電話番号」を入力して送信すれば登録完了。前出の30代会社員いわく、
「仕事の依頼はほぼ毎日のようにメールで届きます。地域や時間帯で行けそうだと思ったらすぐに返信すること。競争率が高い、おいしい仕事はすぐに埋まってしまいますからね」
ギャラは案件によってまちまちで、平均すると時給1500円ほどだという。
よくある行列先としてはサイン会などの芸能イベントの整理券、「レア人形」のような人気グッズの販売、季節によっては花見や子供の運動会の場所取りなどがあるという。
「最もおいしかったのは名門幼稚園の願書提出ですね。親も必死ですから」
とは、並び屋歴5年の50代男性。幼稚園に行列とはあまり想像できないが、そのカラクリを明かすには、
「なぜ並ぶかというと、願書を先着順で受け付けて定員になった時点で締め切る幼稚園があるから。そうでないところでも、願書を受け付けた順に試験を行うところが多く、『面接は早いほうが有利』と、我先にと願書を提出したがるんです。ある案件では、金曜の深夜から月曜の朝まで48時間以上並んで、10万円以上のギャラを受け取ったこともあります」
早朝や週末のスキマ時間を活用して、一攫千金も狙える副業と言えるが、楽なものはないようで…。
「とにかく退屈な仕事なので、スマホゲームや読書など、いかに趣味で時間が潰せるかが勝負ですね。寒い冬場や夏の猛暑の時期は、バイト応募者がどんどん減ってくるので狙い目かもしれませんね」
行列中にスマホで副業探しをするのもまた一興か。
(もとおり・ひろゆき)