「危ない眼科治療」本当の常識(3)「眼球体操」が絶対NGな理由

 ところで、現代はパソコンやスマホなどで目を酷使しているため眼精疲労を訴える人も多く、「目にいい」とされる商品が人気を呼んでいる。

「家庭の医学書で紹介されている、風景写真を見るとかピンホールメガネ、3D絵本などを使った、目をよくするといったもので、視力がよくなることは絶対になく、信じてはいけません。老化を防ぐという『眼球体操』は目を激しく上下に動かすため、硝子体線維が揺れて網膜が引っ張られることで網膜が裂け、網膜剥離になる危険性があるので、絶対にやめてください」

 眼精疲労の緩和にはむしろ、熱いお湯につけたタオルをしぼり、目に当てて5分くらい休憩して、遠くの山やビル、タワーなど、1キロ以上遠方の場所を5分以上ぼんやり見つめるほうが効果的だという。

「スマホなどに使用されているLEDライトは網膜に有害。ですから、抗酸化作用があるDHAやEPAなどを多く含む青魚、あるいはカロテノイドを含む緑黄色野菜をたくさん食べるほうがいいのです。また、目の回復にはブルーベリーがいいとよく言われますが、抗酸化作用があっても、それが目の健康にいいというエビデンス(科学的根拠)はありません。やはり自然のままに、幅広く魚や野菜を食べるほうが、明らかに目の健康にいいのです」

 コンタクトレンズの取り扱いについても、驚きの事実が。

「就寝時はコンタクトを外して保存液に入れているという方は少なくないと思いますが、本当にタンパクを分解できて細菌も殺せるほど強い液体なら、目の細胞も死んでしまいます。つまり、実際の保存液の成分はほとんど水と一緒です」

 とはいえ、加齢とともに目の老化は着実に進んでいくもの。最終的に失明の危険性をはらんでいる目の疾患は「白内障」「緑内障」の他、「糖尿病性網膜症」「加齢黄斑変性」「網膜剥離」などだが、特に目の中の水晶体が濁る白内障は、患者数が激増している。にもかかわらず、日本の眼科では「手術はもう少しあとでいい」と言われることが多々ある。理由は先に触れたように、きちんと治せる技術を持った眼科医が少ないからだ。

「数万件以上施術している医師なら術後に視力1.0以上出すことは普通ですが、経験の浅い術者の場合、0.5以下しか出せない人も多くいます。患者さんが考える以上に眼科外科医の技術差は大きく、手術の視力結果は大きく異なるのです。白内障を放置していると緑内障を起こすことが多く、緑内障で手遅れになる方は多いのです。しかも、この緑内障の手術治療をできる医師はもっと少ないどころか、緑内障を正しく診断さえできない医師も多くいます」

 その結果、緑内障末期になって、深作院長のもとへ助けを求めに来る患者が少なくないのだという。

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