「危ない眼科治療」本当の常識(1)日本は世界から20年遅れ

 年齢を経るにつれ、次々と衰えや不都合が出てくる代表格が「目」である。それではと眼科へ行けば、技量不足の医師に時代遅れの治療を施され、症状はさらに悪化─。現代眼科医療の驚くべき実情と対策を、世界最高の専門医がぶっちゃける。

 いよいよ花粉症のシーズンがやってきた。かゆみから目をこすったり叩いたりしてしまい、ついでに水で目をバシャバシャ‥‥。ところが、こういった過度の刺激が原因で、白内障や網膜剥離を起こす患者があとを絶たないという。

「目というのは、骨に覆われていない剥き出しの臓器。ですから、押したり叩いたりこすったりを繰り返せば、わずかな力でも積み重なって強い外傷を引き起こすことがあります。外傷による白内障は高齢者だけでなく、若年者でもなります。しかも放っておくと水晶体が膨らんで大きくなるため、目の中の水が流れる隅角という隙間が狭くなり、眼圧が上がることで緑内障を引き起こすというのです。ところが日本では緑内障を起こしても、その手術を完璧にできる眼科医がほとんどいないため、とりあえず薬で様子を見ましょう、ということになってしまい、患者は手遅れの末期になって気づくことが多いのです」

 そう憤るのは、手術件数15万件を誇り、日本で唯一、世界最高の眼科外科医に贈られる「クリチンガー・アワード」を受賞したスーパードクター、深作眼科の深作秀春院長である。横浜と六本木にある深作眼科には日本全国、世界各国から連日、患者が詰めかけているが、

「残念ながら日本の眼科治療は世界から20年は遅れている面があります。例えば、加齢黄斑変性の治療に用いられるPDTという方法。これはドイツで15年以上前に開発され、造影剤注射後に網膜黄斑部にレーザー照射し、新生血管を潰すという方法です。ところが現実は正常網膜細胞も障害を受け、かえって視力が悪くなることがわかり、世界ではほぼ廃れてしまいました。ところがなんと、世界で否定されてから、大学の主導でこの方法が日本に導入され、PDTレーザー療法により多くの人が視力を失ってしまった、という事実があります」

 さらに、日本で網膜剥離の手術として主流となっているバックリング法も、先進国ではほとんど行われなくなった古い手法。深作眼科では網膜剥離でも年間2000例ほどを治療しているが、初めから硝子体手術を施せば、ほぼ全例、完治できるというのだ。

「でも当院に来る症例で、他の病院ですでにバックリング法で手術され、さらに失敗して網膜がボロボロの状態になっている患者さんが少なくありません。そんな状態になってからの目を治すのは至難の業です。網膜剥離は早く手術しないと失明すると考えがちですが、実際は1~2週間ズレてもまったく問題ありません。一度冷静になり、まずは最高の手術を受けられる最高の眼科医を探すことです。医師探しが、失明するかどうかを左右するカギを握っているんです」

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