12月9日、韓国の代表的な株式指数のKOSPIが今年の最安値をつけた。最大の理由はやはり、3日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が起こしたたった6時間の「非常戒厳」。以降、値下がり続けた結果だ。
しかし、非常戒厳があろうとなかろうと、韓国経済の不透明感は以前から広がっていた。経済面で見れば、非常戒厳は目先の状況をより視界不良にしたに過ぎないかもしれない。
「KOSPIが年初来安値をつけたのと同じ9日、韓国の政府系研究機関の韓国開発研究所が経済動向を公表しましたが、『不確実性が拡大』としました。またそこでは、非常戒厳や尹大統領の弾劾についての言及は一切ないので、経済はもともと不確実な状況になっているということ。今回の騒動はよく、2026年12月9日と全く同じ時期に起こった朴槿恵大統領の弾劾がよく比較されますが、研究所役員は、当時は景気が上昇サイクルだったものの、現在は内需が弱く回復に見込みが立たないとしています」(経済ジャーナリスト)
目先の話だけではない。もともとOECD(経済協力開発機構)加盟国の中でも経済格差が大きい韓国は、若者の就職難、男女差別、学歴偏重、一極集中での不動産価格の高騰などで「生きづらい国」としてよく知られる。そのため将来への展望も立たず、日本と同様どころか、より一層の少子化が進行中だ。
「イーロン・マスク氏は韓国の少子化をまるで実験を観察するかのように時折Xで言及するのですが、韓国統計庁が24年第3四半期の合計特殊出生率が0.76人だったことを発表した11月27日にも韓国の出生率推移のグラフを載せつつ『(人口全体の)3分の2が減少するだろう。人口崩壊』と投稿している。日本の昨年の出生率1.2に対し低いことから、韓国メディアの中には日本の少子化対策を褒め上げる論調まであったほどです」(同)
国のトップが何をしようとも抗えない、もしくはますますドロ沼にはまる経済の不確実性は、日本と韓国で似たようなものなのかもしれない。
(猫間滋)