共同通信が6月29日、中国政府が北京の天安門広場で今年9月に開催される「抗日戦争勝利80年」記念軍事パレードに、トランプ米大統領を招く意向であることを報じている。
習近平主席が9月にニューヨークで開催される国連総会に合わせ訪米するとの報道もある中、トランプ氏が中国に出向けば、パレードに参加予定のプーチン氏との対面の可能性ががぜん高くなるため、いまから注目が集まっている。
ところが、そんなタイミングに合わせるように、米国の元官僚経験者らの間から、またも習氏の健康不安説、失脚説が浮上している。
「今回、ニューヨーク・ポストに習氏の健康不安による失脚説を寄稿したのは、中国事情に明るい米国の元バミューダ駐在大使グレゴリー・スレイトン氏。同氏は『習近平は健康が不安定で8月党中央委員会第4回全体会議で引退するか、名前だけ職責を維持する可能性がある』と推測していますが、正直、根拠となる情報に目新しさはない、というのが率直な感想です。それでも、かねてから習首席には健康不安説が囁かれており、その根拠とされる一つが、共産党大会等における演説の極端な短縮にあるんです」(外報部記者)
たしかに、以前の習氏による演説は3時間超えの「マラソン演説」と言われたほどパワフルだった。しかし近年は、その時間が半分ほどになり、今年3月に行われた全人代でもいまひとつ精彩にかけていた感は拭えず。しかも、閉幕後、隣に座っていた李強首相と言葉を交わさず、足早に会場を退席する場面もあった。
「72歳という年齢を考えれば、なんらかの持病を持っていても不思議ではない。一部情報によれば、中央宣伝部は習主席が演説中、『水を飲むシーンは絶対に映すな』と指示していると言われますからね。それだけ周囲が敏感になっているということでしょう」(同)
なぜ習氏が演説中に水を飲むシーンの撮影はNGなのか。その理由とされるのが、演説前に必ず習氏の前に置かれるという、2つのコップの存在だという。
通常、中国国内で行われる会議の際、参加者の手元に置かれるのは、水かお茶を入れたカップが1つだが、なぜか習氏の前には2つ。しかも、半分まで注がれる位置に線が引かれていることから、一つには水が、もう一つは漢方薬が入れられているのではないかと思われてきた。
「習氏は昨年5月に欧州を訪れ、最初の訪問国フランスでマクロン大統領と会談したのですが、その際にも、習主席の前には、ミネラルウォーターと見慣れない黒のカップが置かれていたことが話題になりました。潔癖症な習氏が疑物の混入を防ぐために自身のコップを持参した、あるいはコップから個人のDNAを採取されないようにした等々、憶測が流れたものの、漢方薬は色で判断できるため、あえて黒いカップで中身を隠したのではないか、との説が濃厚だったようです」(同)
加えて、ヨーロッパ歴訪では専用機を降りる際、彭麗媛夫人に支えられタラップを降りる姿が見受けられ、赤絨毯を歩く際の歩幅も小さく、やや不安定で、特に、左足にかすかに異常があるように見えたものだが…。
中国を統率する共産党NO.1である習氏の一挙手一投足に注目が集まるのは当然のことだが、前述した元バミューダ駐在大使が予言する、8月党中央委員会「第4回全体会議」まであと1カ月。世界が固唾をのんで行方を見守っている。
(灯倫太郎)