健康宅配チェックシート〈帯状疱疹〉(2)厄介な「合併症と後遺症」10年以上つきあうことにも

 深刻なのは見た目だけではない。

 とにかく厄介なのは、長引く後遺症や合併症を併発してしまう可能性がある点。症状が重症化してしまうと、皮膚や体内にさらなる変調をきたしてしまう。

「発疹が広範囲に広がります。と同時に、水ぶくれが赤黒い大きなものになることも。そうなると焼けるような痛みや締めつけられるような痛みを伴うようになります。神経が損傷してしまい、皮膚症状が治っても『帯状疱疹後神経痛(PHN)』という神経痛が残る場合もあります。酷い場合は数カ月から10年以上のスパンで付き合うことになりかねません」

 傷つけられた神経によって症状は多種多様で、

「運動神経に障害が起きると、麻痺が生じるケースがあります。顔の場合は顔面麻痺、お尻の場合は便秘や排尿障害を引き起こしてしまいます」

 合併症は目や耳などの感覚器にも発症してしまう。

「目は角膜炎や結膜炎などによる視力の低下、耳は水ぶくれができるなどして難聴を引き起こすケースがあります。やはり、なるべく早い段階で抗ウイルスの内服薬などによる治療にかかるのが最善です」

 ちなみに、過去に水疱瘡にかかったことがない場合は心配無用なのだろうか?

「基本的には帯状疱疹にはなりません。しかし、接触感染や飛沫感染などでウイルスに感染する可能性はゼロではない。生後、ワクチンを接種する過程でも感染するケースがあります。また、胎児期に水疱瘡になっても軽症で済むことが多いため、自分や家族の記憶から消えていることも少なくありません」

 つまり、ワクチンを打つことが肝要となる。

「生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。前者は比較的安価かつ1回の接種で免疫の持続は5年程度。後者は費用が高くて2回の接種がマストながら、免疫の持続は10年以上。帯状疱疹後神経痛への予防効果は、不活化ワクチンのほうが優れている一方で副反応も大きい。メリット・デメリットはありますが、いずれかのワクチンを打つことで予防効果や発症時の症状を抑える効果に期待できます」

 体の衰えに自覚がなくても注意は必要だ。

「精神が元気でも、体は思いのほかヘバッています。とりわけ会社の部署異動や引っ越しなどが多い、4月〜5月は昼夜の寒暖差も相まって疲労が蓄積しやすい。それだけに発症条件をそろえかねません。帯状疱疹のウイルスを体から完全に排除するのは現在の医療では不可能なので、死ぬまで付き合う疾患という認識で先手を打つようにしましょう」

 まずは、かかりつけの医療機関にワクチンの問い合わせをするべし!

【「帯状疱疹」チェックシート⑩】

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①年齢が50歳以上 1点
②なんだか体がゾワゾワする 1点
③生活習慣が不規則だ 1点
④ストレスが溜まりやすい 1点
⑤慢性的な睡眠不足だ 1点
⑥眼精疲労や頭痛に悩まされている 2点
⑦水疱瘡にかかったことがある 3点
⑧皮膚に赤みを帯びたブツブツができた 3点
⑨帯状疱疹のワクチンを接種していない 3点
⑩顔、四肢、体の右(左)半分だけに帯状の発疹がある 6点

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