「新幹線誘拐騒ぎ」に群がる”上から目線で子育て指南”の厄介な人々

 ミュージシャンでマンガ家の劔樹人氏が、2歳半の娘と一緒に乗っていた長野新幹線で、誘拐犯と疑われた一件が話題を呼んでいる。劒氏が記事投稿サイトの「note」で8月20日に公開した記事によると、イヤイヤ期にある娘を新幹線のデッキであやしていたところ、上野駅で通報を受けたという警察官が3〜4人現れ、女児誘拐を疑われたという。

 劒氏は警察官に対して冷静に対応し、妻でコラムニストの犬山紙子氏に電話をかけて娘と会話させ、スマホ内にある父娘の写真を見せるなどして、警察官を納得させたとか。そして自身に誘拐の疑いをかけた通報者に対しては、「怪しからったら通報、これは正しいことだと思うし、それで救える子どもがいるなら素晴らしいことだと思う」として、不満は一切ないと表明。この点については妻の犬山氏も同意しているほか、記事を読んだ読者からも多くの共感を得ているようだ。

 その劒氏が遭遇した“女児誘拐を疑われた”一件について、自らも娘と二人で外出する機会が多いというパパライターが指摘する。

「劒氏の記事で印象的だったのは『男性の子連れを違和感を伴った目で見る人はまだまだ世の中に沢山いる』という指摘。実際、息子さんを連れているパパならまだしも、娘さんを連れているパパはあまり見かけません。それもレジャーに行くような重装備のパパが女児を連れ歩いている姿はたしかに珍しいのです。それゆえ周りの人たちが奇異な目を向けるのは理解できますが、劒氏も不満を呈しているように、意味のない偏見を向けられることには私も父親として不愉快な思いを抱いてしまいますね」

 劒氏は今回の記事で「よく読まずに、『慣れないことをするからこうなったんだ』というコメントがあった」と指摘。それに対しては「申し訳ないが、私はふたりで新幹線に乗ることには慣れていた」と反論しているが、そもそも今回の一件で劒氏になにかしら責められるべき事由があったというのか。前出のパパライターはこう首をひねる。

「子育てを巡っては必ずと言っていいほど、上から目線での忠告やアドバイスが降り注ぐもの。ネット上では、子育て経験のないネット民が好き勝手に書きなぐっていることも多いのですが、面倒くさいのは子育てがひと段落した中高年女性ですね。一切ミスのない100%正解ばかりの子育てなどありえないのに、重箱の隅をつつく勢いで《それは違う》《こうやるべき》などと、細かいミスをあげつらうのです」

 しかし、そういった先輩ママのアドバイスはほとんどが試行済みだったりするもの。そもそも子供にはそれぞれ個性があり、子育て術にも向き不向きがあるにも関わらず、先輩ママは自らの成功例を絶対視しがちだ。

「他人の子育てを見ては《間違っている》と糾弾してばかりの先輩ママは多いのですが、これぞ不寛容の極みではないでしょうか。必要なのは責め立てるのではなく、見守ること。自分が若かったころは実感していたはずですが、いざ子供が手離れすると、過去の記憶としてすっかり風化してしまうのかもしれません」(同前)

 街なかや電車内で困っている父娘を見たら、温かくそっと見守っているのがいいのかもしれない。

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