1年延期に無観客など異例ずくしの開催となった今回の東京五輪。連日のメダルラッシュが大きく取り上げられているが、新型コロナの影響で選手・関係者以外の入国が制限されていること、さらに会場も無観客で期待されたような経済効果は得られていない。野村総研によると、無観客で開催した場合の損失は1468億円に及ぶという。
だが、本当に怖いのは五輪が閉幕した後だと指摘するのは経済ジャーナリスト。本格的な不況が訪れる可能性があるというのだ。
「当事国に莫大な経済負担が強いられるのが五輪開催です。閉幕後も景気を維持するケースも多いですが、その一方で04年のアテネ(ギリシャ)、16年のリオデジャネイロ(ブラジル)は五輪後に深刻な経済不況に見舞われています」
ギリシャは以前から巨額の財政赤字を抱えていたのを政府が隠ぺいしていたことが09年に発覚。これにリーマンショックの影響も加わり、不況がヨーロッパ全体に波及。一時は国家の財政破綻が危ぶまれたほどだ。
そして、ブラジルも五輪の2年前の14年にサッカーW杯を開催しており、財政を圧迫。2年連続でGDPは減少し、1200万人以上が失業する事態に陥った。
「特に現在はコロナ禍で、日本だけでも数十兆円規模の経済損失を抱えていると言われています。しかも、かつてのような世界第2の経済大国ではなく、コロナが流行しなくても製造業などを中心に国際競争では苦境に立たされています。もちろん、コロナが収束すればある程度の回復は望めますが、以前の水準に戻るのは困難との予測も出ています」(同)
2025年には同じく世界規模のイベントである万博が大阪で開催される。本来ならそれに伴うインバウンド需要の増加など高い経済効果が期待できるが、こちらは五輪と違って観客を集めてナンボのイベント。コロナの収束が長引けば税金の無駄遣いに終わり、待ち受けているであろう不況をさらに加速化させる事態もありうるのだ。