「魔球だ…」
9月に行われた「バレーボール・ワールドカップ」で苦戦を強いられた女子代表の中田久美監督が、5試合目の中国戦で受けたサーブを指して「魔球」と称していた。
たしかに第2セットで8連続失点を食らうなど、全く対応できなかった場面があった。バレーボール協会の強化委員会も、中田監督の“魔球論”をマジメに受け止めているという。
「前大会まで中田監督を支えていたのは、トルコ人の男性コーチでした。契約の問題で帰国することになり、W杯は日本人スタッフが代理を務めましたが、中田監督と合わなかったというか…」(体育協会詰め記者)
中田監督は強化合宿で選手たちを徹底的に追い込むタイプ。戦術については、どちらかというとコーチスタッフに先に伝えておき、それを代弁させてきた。今回、代理参謀がその役を担ったのだが、中田監督の戦術を全て伝えきれなかったようである。
「国際経験の豊富な参謀を大至急探さなければなりません。経験値という意味で、代理参謀が中田監督の考えに付いていけなかったことが課題として挙げられました」(同前)
中国戦での連続失点だが、中田監督は完璧にウラをかかれてしまったことを「魔球」と表現したのだ。中国代表の郎平監督は、中田監督にとって、現役時代からのライバルでもある。
魔球にライバル…。昔のスポ根アニメのようだが、そういえば中田監督は阿川佐和子が司会を務めるトーク番組に出演した際、「アタックNo.1」の主題歌を“熱唱”していた。
さて、“魔球対策”の詳細は、国内のVリーグが終了する1月下旬までにまとめられるという。魔球封じが功を奏し、東京五輪でのメダル獲得に成功したあかつきには、もう一度、熱唱してもらいたいものだ。
(スポーツライター・飯山満)