FA権を行使し、その去就が注目されていた阪神・大山悠輔が残留会見を行ったのは11月29日。阪神が提示した5年17億円プラス出来高(金額は全て推定)の条件は、巨人の6年24億円よりも低かった。
「巨人は引退後のセカンドキャリアも提示していました。阿部慎之助監督も交渉の席へ出馬するはずでしたが…」(巨人担当記者)
大山本人は「本当に悩みました」とコメント。阪神残留を決めたのは、両球団に報告をした日の朝だったことも明かした。
史上初となった「FA移籍の巨人阪神戦」は阪神が逆転勝ちした格好になった。4年ぶりのFA補強に向けて出鼻をくじかれた巨人は、今後のFA戦略の雲行きも怪しくなってきた。
「巨人は今オフに、阪神・大山以外にもソフトバンクから石川柊太と甲斐拓也の3人をリストアップし、総額50億円を用意したと言われています」(別の巨人担当記者)
石川はすでにヤクルトとも交渉の席につき、11月30日にはロッテとも交渉を行った。
「一方の甲斐は、阿部監督が是が非でも欲しい捕手で、『絶対的司令塔』とまで言っています」(夕刊紙記者)
巨人がここまで来季の補強にこだわる理由は2つある。1つは、「優勝したからこそ補強が必要」と阿部監督が熱望しているからで、もう1つの理由は観客動員数だ。巨人は今季282万5761人を動員したが、これは、昨季よりもおよそ11万人増加している。
「これだけを見れば巨人人気は安泰のように見えますが、コロナ禍前の2019年までは年間300万人動員が当たり前でした。今オフはエース菅野智之が、来オフには4番の岡本和真がメジャー移籍する流れで、このままいけば『チームの顔』がいなくなってしまう。巨人の先行きは決して順風満帆ではないという危機感を阿部監督は持っているのでしょう」(民放局ディレクター)
12月1日時点で、石川はすでに巨人と初交渉を済ませているが「絞りづらい」と語っている。甲斐は今後交渉の予定で、その場には阿部監督も出馬すると言われている。
大山の奪取に失敗した阿部巨人が、二の矢のFA補強を完遂できるか。正念場にさしかかっている。
(小田龍司)