金が高値を更新し続けている中、銀の価格も急騰している。貴金属の販売・買い取りを行う田中貴金属工業のHPによると、銀1グラムあたりの店頭小売価格(税抜)は2023年11月の最高値が133.87円だが、24年11月には179.19円を記録。1年間で1.3倍以上の伸びをみせた。
11月7日発売の「週刊新潮」では、銀価格の急騰について報じた。記事では、日本貴金属マーケット協会代表理事の池水雄一氏の話として、銀は金と同様に昔から宝飾や通貨に使われる貴金属とみなされてきたため、金と似たような値動きをすると紹介している。銀の高騰は金価格に引っ張られてきたというのが一因のようだ。ただし、金は9割が宝飾用や国家備蓄として買われるが、銀は半分近くが工業原料。銀を使う産業の景気によって、銀価格は上下するようだ。
工業用として、銀は半導体や太陽光パネルなどに使用されている。電子機器には欠かせない半導体の需要は今後も続くと見られ、太陽光パネルも再生可能エネルギーへの関心の高まりが追い風となっている。ちなみに、東京都では25年4月から新築住宅への太陽光パネルの設置が義務化。これが全国へと波及すれば、太陽光パネルの需要は一気に増えるかもしれない。
「銀に投資するには地金商で現物を購入するほか、銀価格に連動したETF(上場投資信託)を通じて購入することができます。ただ、銀は金と比べて市場が小さいことなどから価格の値動きが激しいのが特徴です。投資は余剰資金で行い、決して無理はしないこと。また、目先の値動きに一喜一憂せず、長期的な視野を持つことが必要です」(マネー誌ライター)
銀は魅力的な投資商品だが、注意も必要だ。
(石田英明)