2021年2月9日深夜、当時19歳の元少年が運転する乗用車が時速194キロの速度で交差点に侵入し、会社員の男性が運転していた右折車と衝突。会社員の男性は車外に投げ出され、事故の翌日に死亡した。
11月5日、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた元少年の裁判員裁判の初公判が大分地裁で開かれた。元少年は22年7月、大分地検から過失運転致死で在宅起訴されたが、遺族らがより法定刑の重い危険運転致死罪の適用を求める署名活動を行うなどした結果、訴因変更された。
裁判では適用が難しいとされる危険運転致死罪が認められるかどうかが、争点となる。冒頭陳述で検察側は「194キロの走行は車体が大きく揺れる。ハンドルやブレーキの操作回数が増え、少しのミスで操作を誤ることがある」などと主張し、危険運転にあたると述べた。
一方、弁護側は「ハンドルがブレたり、制動ができなくなったり、そういったことはなかった。実際、衝突するまで意図した通り、車線から逸脱することなく直進走行できていた」「法律では、高速度だけでは危険運転にならない」などと反論した。
危険運転は類型化されており、その1つに「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」というものがある。弁護側は〝高速度でも車線から逸脱することなく直進走行できていた〟と主張しているが、ネット上では《一般道で時速194キロ、どう考えたって制御できる速度ではない》《時速194キロという極端なスピードでの運転が安全だとは到底考えられません》《制御できないから衝突しているのでは?》などと疑問の声が上がっている。
「194キロというスピード自体が危険運転ではないかと考える人が大半ではないでしょうか。元少年が事故を起こした乗用車は輸入車で速度リミッターは200キロ以上でしたが、ほとんどの国産車は180キロで速度リミッターが作動し、それ以上のスピードは出ません。194キロという速度が危険運転に該当しなければ、180キロ以上は出ない国産車に乗っていれば、〝制御困難な高速度〟に該当するケースはないという解釈もできます」(自動車誌ライター)
一般道で194キロを出すこと自体、危険運転のような気もするが、11月28日の判決を待ちたい。
(石田英明)