近年は米中の背中を追いながら、経済で目覚ましい発展を遂げてきたインドだが、いよいよ人口においても中国を追い抜く日が来たようだ。
国連人口基金(UNFPA)が19日、世界の人口動態に関する報告書を発表。2023年半ばまでにインドの人口が中国を約290万人上回り、ついに世界1位となるとの推計を発表した。
「国連によれば、今年半ばの時点で推計されるインドの人口は14億2860万人で、
ところが、このニュースが世界に配信されるや否や、中国国営の中央テレビ(CCTV)が噛みついてきた。「西側メディアは中国の人口がインドに抜かれることにかこつけて、大げさに騒ぎ立てようとしている」と大変な鼻息なのである。
中央テレビが言うには、
「(西側は)ずっと誹謗中傷してきたが、中国は一貫して発展し、巨大な人口を抱えながら持続可能で安定した経済発展という奇跡を起こした。人口動態報告書に新たな揚げ足取りのポイントを見出しているだけだ」
と、米国を中心とした西側の姿勢を痛烈に批判。とはいえ、単なる「人口予測」に対し、中国はなぜここまで過敏に反応するのか。
「近年の中国の経済成長の原動力は不動産投資、インフラ投資でしたが、いまや地方都市は建設途中で中断し放置されたマンションだらけですし、辺鄙な場所にあるピカピカの空港にほとんど客がいないという状況です。バブルが弾け、成長率が鈍化しており、中国のGDPは政府当局が発表する6割程度しかないという専門家の研究結果もあるほど。人口が減少すれば、当然、それも加速するはずです」(同)
一方、インドでは生産人口が年間1000万人ペースで増え続けており、モディ首相は政権発足以来「メーク・イン・インディア」というキャッチフレーズのもと、半導体をはじめ世界から工場を誘致するなど様々な経済改革を推進し、大きな発展の兆しが見えている。
つまり、今回の西側報道への過剰な反応には、インドから無言のプレッシャーによるイライラもあったとの見方もできるが、さて長期政権を目論む習近平氏の胸の内は……。
(灯倫太郎)