“ユーチューバー・バブル”による破竹の勢いが新たな時代の潮流として受け入れられつつあるが、過度な「動画映え」を狙うあまり、思いも寄らない弊害がもたらされる可能性もあるようだ。
大手プロダクションの「UUUM」を代表する人気動画クリエイター・HIKAKINが、都内某所の高級マンションへ居を移し、多くの若手ユーチューバーに夢を与える煌びやかな“新居公開動画”をお披露目したが、HIKAKINに限らず、引っ越し先での新居紹介動画は通常よりも再生回数を稼ぐことのできるキラーコンテンツとして多くのユーチューバーにとって重宝されてきた。
ユーチューバーの羽振りの良さや懐事情が垣間見れることでも視聴者の関心を引きつけてやまない“新居動画”だが、作り手側が最も注意しなければならないのは住所やマンションの特定を防ぐための工作だ。
「一定の人気を誇るユーチューバーは、自宅マンションの室内を撮影する際、必ずカーテンを閉めて部屋からの景色が映らないようにします。もちろん理由はマンションの特定によるファンの押しかけを防ぐことですが、肝心の部屋の間取りや特徴的な内装デザインをこれでもかとアピールしているため、景色よりも容易にマンションが特定されているという現状があります。彼らは自宅マンションにも“動画映え”を求めることが多く、メゾネットタイプやらせん階段、開放的なベランダなど、他とは一線を画すようなデザインの部屋を選ぶケースが見られ、自らマンションの特徴をアピールしてしまっています。賃貸物件のサイトに掲載されている部屋の内装写真は誰でも閲覧でき、しかも特徴的な間取りやデザインであれば、景色をカーテンで隠してもほぼ意味はないでしょうね」(テレビ誌ライター)
再生回数を見込める“新居公開動画”ではあるが、豪勢かつ個性的なデザインをキッカケに“特定作業”が加速し、最終的に他の住民に迷惑をかけてしまうケースも十分に考えられる。プライベートを切り売りすることで親近感を演出するユーチューバーにとって、これらの問題は早急に解決すべき案件かもしれない。
(木村慎吾)