米ハンバーガーチェーン「マクドナルド」が植物性原料で肉の味や食感を再現した代替肉を使ったハンバーガー「P.L.T」の試験販売を9月30日からカナダでスタートさせた。ハンバーガーの最大手がついに肉不使用バーガーの販売に踏み切ることになったが、果たして“代替肉”は本当に安全なのだろうか?
「代替肉はもともとビーガン(絶対菜食主義者)のために開発されたもの。加えて昨今は、小泉進次郎環境大臣が『国連気候行動サミット』参加前にステーキ店に入店したことが非難されるほど、牛肉の生産が温暖化や森林破壊などの原因になると世界が敏感になっており、こうした環境問題から代替肉を選ぶ人も増えています。また、代替肉は大豆や小麦などを主原料としているためダイエットフードとしても需要が高まっているのです」(社会部記者)
大手飲食チェーンで言えば、今年4月から「バーガーキング」が肉不使用バーガーの試験販売をスタートさせ、世界食品最大手の「ネスレ」も欧州で植物性由来の「インクレディブル・バーガー」を販売開始。8月には「ケンタッキーフライドチキン」が肉不使用の「ビヨンド・フライドチキン」を限定販売するなど、代替肉を使用したメニューが続々と誕生している。
また、代替肉を推奨する非営利団体「グッド・フード・インスティテュート」によれば、18年の代替肉の販売額は前年比23%増となっており、マイクロソフト共同経営者のビル・ゲイツや俳優のレオナルド・ディカプリオが出資したことで話題となった代替肉の製造会社であるビヨンド・ミートが今年5月に米市場に上場すると、株価が売り出し価格の約3倍まで上昇するなど大きな注目を集めている。
ただし一方では、こんな声も。
「植物由来のものだからといって、必ずしも安全とは言えません。代替肉はあくまで肉の代用品となるものですから、味や見た目が肉そっくりでなければならない。そのため、一部には遺伝子組み換え食品や過剰な添加物、染料を使用しているケースもあり、むしろ本物の肉よりも健康的でない場合もあるのです。代替肉にはどんな材料が使われているか、消費者も見極める必要があると思います」(フードジャーナリスト)
使用した結果は、我々の一世代、二世代後にならなければ分からない部分もありそうだ。
(小林洋三)