「凱旋門賞」社台軍団の極秘調教をスッパ抜く(1)女傑エネイブルに死角は…

 世界最高峰のレース「凱旋門賞」が10月6日に開催される。今年の主役は史上初の3連覇に挑む女傑エネイブル。対する日本勢は、キセキが王道の前哨戦を経て臨む中、ブラストワンピースとフィエールマンは、過去の臨戦過程を大幅に見直し、決戦を迎える。ついに「社台軍団」が総力をあげて勝ちにきた!

 世界のホースマンが憧れる「凱旋門賞」の創設は1920年。16戦無敗のリボー(55年、56年)や、牝馬として77年ぶりに連覇を果たしたトレヴ(13年、14年)などの歴史的名馬が名を連ねる中、3連覇の偉業は皆無。当然、12連勝中の女王エネイブルへの期待は膨らむばかりだ。

「東京スポーツ」でコラム「海外競馬解析」を執筆する競馬ライターの秋山響氏が解説する。

「昨年はシーオブクラスに『短クビ』まで追い詰められる薄氷の勝利でしたが、相手も相当な実力馬でしたからね。それにエネイブルは春先の故障で調整が遅れ、9月になんとかひと叩きできたという臨戦過程。しかもそのあとに熱発して、調教を1週間ほど休まざるをえないアクシデントを乗り越えての連覇でした」

 昨年と比べて、今年ははるかに順調だ。今年初戦となった7月の「エクリプスS」、続く「キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS」「ヨークシャーオークス」とGⅠを3連勝。6週間の間隔を空けて本番に挑むことになる。

「とにかく、名手デットーリ騎手の意のままに競馬ができることが最大の長所です。前走のように逃げてもよし、2走前のように差してもよし。馬場は良でも不良でも大丈夫。しかも、パリロンシャン競馬場を経験済みとなると、死角が見当たりませんね」(秋山氏)

 とはいえ、ライバルたちも虎視眈々と隙をうかがっている。専門紙「競馬エイト」の海外競馬予想で、本紙担当を務める増井辰之輔TM(トラックマン)が解説する。

「昨年より臨戦過程のいいエネイブルが中心ですが、早め抜け出しが好走パターンだけに負かすとすれば決め手に秀でたタイプの馬。中でも仏ダービー馬で、前哨戦のGⅡ『ニエル賞』も勝利したソットサスは侮れません。良馬場が理想ですが、重馬場でも2勝しています」

 ソットサスが優勝した今年の仏ダービーは、トレヴが持っていたコースレコードを塗り替えてのもの。秋山氏の評価も高い。

「強烈な末脚が武器です。『ニエル賞』は、直線で進路がなくてヒヤヒヤしましたが、前が開いてからの伸び脚はさすがのひと言。仏ダービー以来3カ月半ぶりのレースだったことを考えてみれば、上々の走りでした。ゴチャゴチャした厳しいレースを経験できたこともプラスになったのだと思います」

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