純利益21%増の365億円、山崎製パンの好業績と「いのちの道の教え」

 パン・食品メーカー大手の山崎製パンが7月31日に発表した「2024年12月期 第2四半期決算短信」が注目を集めている。

 2024年12月期の連結純利益は、前期比21%増の365億円になる見通しで、年間配当は38円(前期は25円)と想定から10円増やすことも発表した。好業績の主な理由は、主力の食パン「ロイヤルブレッド」や、1月に新発売した「薄皮たまごぱん」の売れ行きが好調で、値上げ後も売れ行きが落ちなかったことなどが挙げられる。

 同社は好調な成績について短信でも説明しているのだが、その中に記された「ある一文」がSNS上で話題になったのである。以下がその一部だ。

「当社グループは、『いのちの道』の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による『なぜなぜ改善』を推進し(以下略)」

 この文章を読んだ一部の株主から、《ちょっと何を言ってるのかわからない》《もう少しわかりやすく説明してほしい》などといった声があがったのだ。

「山崎製パンは、2020年8月4日に経営基本方針を改定しましたが、その際に『いのちの道の教えの言葉に従い』『神のみこころにかなう永続する事業の実現を期すこと』などと、綱領を変更しています。実は、同社を売上高1000億円台から1兆円規模の食品コンツェルンに成長させた飯島延浩社長は、敬虔なキリスト教信者として知られおり、経営基本方針にもその考え方が色濃く反映されているんです」(経済部記者)

 山崎製パンは、東日本大震災発生時のわずか1時間後に本社内に緊急食糧対策本部を立ち上げ、翌日には60万個のパンを救援物資集積所や避難所、行政機関へ供給している。さらに、阪神・淡路大震災時には、100万個の寄付分を含む計270万個の菓子パンを、自衛隊の輸送協力を得ながら被災地に供給した。

 同社の公式サイトには、「被災地への緊急食糧の供給を行うことは、食品企業としての当社の社会的使命と考えています」とつづられている。確かに、こうした理念が「いのちの道の教え」「神のみこころ」によるものであることは間違いなさそうだ。

(ケン高田)

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