自身のタイトルが掛かっている中でのこのプレーには痺れた!?
今シーズンも開幕投手を務めるなど、長きに渡って阪神でエースとして活躍したランディー・メッセンジャー投手が9月29日、阪神甲子園球場で行われた「阪神×中日」戦で引退登板した。
メッセンジャーは初回に登板し、中日の1番打者である大島洋平選手と対戦。結果はフルカウントから投じた146キロのストレートで空振り三振に仕留め、その現役生活に幕を閉じた。
大島を三振に取ると、阪神ファンから「ランディー」コールが起こる中、メッセンジャーはマウンドに集まった内野陣と抱き合ったり、矢野燿大監督とグータッチ。最後はマウンドを去る際に、今期で退団する鳥谷敬選手から花束を受け取り、メッセンジャーにとっても最高の形での引退登板となったことだろう。
当然、阪神ファンにとって胸が熱くなる内容だったが、このシーンには阪神ファンを含めた全野球ファンから、引退登板の相手を務めた大島に賛辞が集まっている。
「CS争いが終盤まで続いていることもあり、投手の引退登板は先発で打者1人というパターンが多く見られています。大島選手が引退登板の相手役を務めるのは、ここ9日間で3度目。9月21日のヤクルト・館山昌平にはニゴロ、同23日の広島・永川勝浩には一ゴロ、そして今回は空振り三振といった結果でした。ですが、今回の空振り三振に至っては、明らかに振り遅れのスイングに見えましたから、メッセンジャーに花を持たせたとほとんどの野球ファンが受け止めています。
とはいえ、大島選手は現在リーグトップの174安打で最多安打争いをしている。安打数2位の坂本勇人が所属する巨人がレギュラーシーズンを終えているとはいえ、3位には同僚のビシエドが6本差で迫っているため、タイトル確定というわけでもありません。そんな状況下にもかかわらず、自身の成績を犠牲にしてまで引退する相手を労う行為が野球ファンの心を打ったようです」(スポーツライター)
野球ファンからは《阪神ファンですが、メッセンジャーに最後に花を持たせてくれてありがとう》《大島には頭が上がらない》《結果出してる人ってやっぱ気持ちに余裕があるよね》《大島選手、いい人だな》《引退クラッシャーの村田さんとは大違いだ》など、大島の人柄を称賛する声が殺到している。
「元巨人のスラッガーで、現在は同チームのファーム打撃兼内野守備コーチを務める村田修一氏は、07年の広島戦でこの日引退登板した佐々岡真司投手と9回裏ツーアウトの10点ビハインドの場面で対戦。こちらは大島選手とは対照的にフルスイングでボールをとらえ、左中間席中段に飛び込む36号ホームランを放っており、野球ファンからは”引退クラッシャー”との異名をとりました。ただ、このホームランもあってこの年、村田氏は2位と1本差でホームラン王に輝いていますから、タイトルがかかった状況での村田の一発狙いも真剣勝負の世界において当然の判断でしょう」(前出・スポーツライター)
メッセンジャーは試合後の会見で「アリガトー、オオシマサン」と笑顔で大島に謝辞を述べている。クラブハウスには大島から花束も届いていたそうだ。
とにもかくにも今回の粋な計らいで、大島の好感度が爆上げしたことは間違いないだろう。
(田中康)