東京2020オリパラ公式映像「MAZEKOZEアイランドツアー」の企画、構成、キャスティング、演出、衣装デザイン、総指揮も担当するなど、多才な女優・東ちづる(63)。多忙な中で健康を維持するベースは、故郷で生まれた発酵食品だった。
なるべく週3でジムに通うようにはしています。ピラティスとヨガのクラスで、今年からは週1でパーソナルトレーナーにもついてもらっているんです。日常でも、バス停4つ分くらいの距離なら歩くよう心がけています。
食で気をつけているのは、前日の晩ご飯から16時間は何も食べず胃を空っぽに。主食は玄米を小豆と一緒に1時間かけて発芽させ、それから7時間かけて炊く。それを3日間寝かせた発芽酵素玄米です。すごいでしょう? でも私は何もせず、炊飯器がいい仕事をしてくれているだけなんですけどね(笑)。
あとタンパク質、旬の野菜を取り入れて調理して食べています。若い頃から料理をするのは好きなので、栄養バランスを考えるのは当たり前になっていますね。寝るのも大好き。睡眠は生きる力ですよ。お酒も飲みますが、程々にしないと熟睡できません。だからそこは自分との戦いですね(笑)。若い頃と比べてお酒が弱くなっていることはありませんが、睡眠に影響しないように気をつけてはいます。いずれも、ストイックになりすぎないレベルでの健康生活です。
ーーそう話す東が頼っているのは、53種の原材料を使って、微生物と酵素の働きによって製造される商品だった。ーー
元々体が弱くて、点滴打ちながら仕事をするのが日常でした。ある時、友人が「これ、いいよ」って勧めてくれたのが万田酵素。もう30年以上前の話です。実際に食べ始めて4カ月経ったら、風邪をひかなくなった。肌とか髪も調子がよくなりましたよ。
ふと容器の裏を見たら、私の故郷の広島県・因島の商品だとわかってビックリ。それですぐ母親に電話して聞いたら「因島で知らない人はいないわよ」って(笑)。開発した方はそれこそ身上を潰して研究に没頭され、万田酵素を完成させています。世界一の発酵食品とまで言われるようになって、因島の誇りですね。ケガが治りやすくなりましたし、体力がついて、寝起きのよさも感じています。
――そんな病気知らずの彼女が命の危機に陥ったのは2年前。コロナ禍で、突然に体の異変を感じて戸惑ったという。ーー
出血性胃潰瘍になりました。胃の調子が悪いなと気がついていたんですが、ちょうど院内感染も怖かった頃ですし、医療従事者が大変な時に、胃が痛いくらいで病院に行くのはいかがなものかと思ってしまって。病院に行くのを延ばし延ばしにしていました。
ところが8カ月ガマンしていたら、夫に「顔が真っ白だよ」と言われたんです。病院に電話したら「すぐに来てください」って。行ったら立っていられないほどで、車イスに乗せられてそのまま診察室に直行。先生が私の目をペロっとめくって「胃カメラ、手術、入院」と言ったんです。ちょっと待ってと思ったんですが、すかさず「これで亡くなる人もいます」とはっきり宣告されました。
胃からずっと血が出ている状態で、貧血がひどくて針も刺さらないくらいでした。胃カメラで映しながら、出血部分を閉じて、1週間入院しました。貧血の度合いがすごくて「1人でベッドから立たないでください」と言われるほどでしたね。長い期間放っておいたのがよくなかったそうです。
ーーより健康に気を遣うようになった現在、東の活力の源となっているのが映画制作だ。ーー
2012年に一般社団法人「Get in touch」の代表になり、2017年に「まぜこぜ一座」の旗揚げ公演をしました。旗揚げ公演はたくさんのメディアの方に来ていただいたのですが、「障がい者が多数出演している作品はデリケート」だということで、放送はされませんでした。だから今回、映画に挑戦しました。「利益はいらないので配給してください」というスタンスです。音声ガイド、バリアフリー字幕、文字通訳‥‥可能な限りのバリアフリーを実現させています。
私は自分のためにやっているんです。自分が高齢者になったり患者になったりした時にガマンをするのが嫌なんです。自分らしく人生を楽しみたいんですよ。できることをやっておかなきゃって。