知性派タレントとして司会やコメンテーターをこなし、クイズ番組でも活躍する麻木久仁子(61)。健康には自信があった彼女だが、突如、大病に襲われた。回復後、ある健康法にたどりついたという─。
2010年に脳梗塞、12年に乳ガンを患いました。それまでは健康自慢で、まさに突発的なことでした。それで、禁煙外来に2週間通って、タバコをきっぱりやめました。食事にも気を遣うようになりました。仕事柄、食べる時間が不規則だし、提供されるお弁当はおいしいんだけど、ボリュームがすごくあるのをつい食べちゃうんですよね。
ーー健康生活を意識するようになった麻木は、中国の伝統医学の考えに基づいた“薬膳”に関心を寄せるようになったーー。
学校に行って勉強して、15年に資格(国際薬膳師・国際中医師)も取りました。薬膳の基本は、季節のモノ、土地のモノを中心に、体調や体質に合わせながら、控えめな味付けの料理を腹八分目で食べることです。おばあちゃんの教えのようで、無理なく生活にも取り入れやすく、食いしん坊の人にも向いてますよ。
私は1日2食。お昼にガツンと食べて、夜は具だくさんスープとか、1人用の鍋とかでカロリーを抑えるようにしています。鶏肉、魚介類、卵でタンパク質を、後は食物繊維をできるだけ多く取るんです。
薬膳において食べてはいけないモノはないんですが、私は精製された砂糖は使いません。砂糖を取りすぎると、体が糖分濃度を薄めようと水分をため込んで、代謝が滞ると言われているんです。どうしても糖分が必要な場合、例えば角煮を作る時など、黒砂糖やハチミツで代用。とはいえ、おいしいケーキをいただいた時やケーキバイキングに誘われた時は、喜んで食べますよ(笑)。そこから1週間、糖分を減らして調整すればいいんです。食べる楽しみをキープしながら、日常の体作りのベースをちゃんと作っておくようにしています。
ちなみに東洋医学では、“陰陽五行”といって「五」という数字がよく出てきます。中でも注目してほしいのが「五色」です。信号の赤、青、黄に白、黒のモノをバランスよく食べなさいという教え。五色は1回の食事で必ずしも全部取る必要はなく、例えば1日、1週間の中で考えれば大丈夫です。肝心なのはバランス。色が偏らないようにします。
例えば白は「白米」を連想する方が多いです。食卓に並んだメニューを見た時、茶碗のごはんの量が他の料理よりも多い、つまり白が多いことに気づいたら、白米を少し減らすんです。一般的に青の食材は少ないと感じる方もいるでしょう。でも、あくまで感覚を大切にします。緑黄色野菜の葉物を青と考えればいいし、皮が緑で中身が赤のスイカは、赤の部分を求めて食べると思ったら赤でいいんです。そして色を意識すると、買い物時にいつもと違うモノにも目がいくようになる。この色が足りないってなると探しますからね。どうしても同じモノを食べがちだったのが、五色を意識すると、普段口にしないモノも体に取り入れる機会が出てくるんです。
ーー薬膳を実践してきた麻木は「健康とは何か?」という問いに対し、ある結論を導き出したという。ーー
結局「快食、快眠、快便」なんです。おいしく食べて、気持ちよく排便して、ガッと寝て、パッと目覚める。それが健康のバロメーターだとつくづく思うようになりました。最近は、トイレで自分の便もチェックするし、食事をおいしく取ることができたか考え、自分の体と対話するようにしています。3つのうち何か1つでも崩れたら、それこそ病院で健康診断を受けたり、診察してもらったりするのがいい。快眠を求めたら、私は飲酒を週1回にしました。以前は毎日飲んでいたんですが、還暦を過ぎてから、飲んだ翌朝の寝起きが悪い。午前中はボーッとしていて、使い物になりません。アルコールが抜けきらないんですよ。しかも人間ドックで肝臓の数値も悪かったので、土曜の夜だけと決めました。でも人からお誘いがあって水曜日に飲み会が入ったら、いつも飲んでいる土曜はやめてと、そこは臨機応変です。
週1回だとめっちゃ楽しみにしているから、ちょっと高いお酒で、ちゃんとおつまみを作ってと、飲むことに対する力の入れ具合も高くなりました。何たって1週間ガマンしてますからね(笑)。大好きな韓流のラブコメドラマのドロドロした愛憎シーンを楽しみ、長めのキスシーンは早送りしながら、ゆっくりチビチビやってます。その時間が一番のストレス解消法ですかね。