政治とカネをめぐる問題で、国会では政治資金規正法の改正について議論が行われている。その中で大きな争点となっているのが「連座制」の導入。連座制が導入されれば、会計責任者が虚偽の報告を行い、罰則を受けた場合、議員本人にも失職や公民権停止などのペナルティが科されることになる。
しかし、与党が出した案では、責任が問われるのは「国会議員が確認せずに確認書を作成した場合」という条件がつく。これに野党からは「なんちゃって連座制」などと厳しい声があがっていた。
そんな中、自民党の片山さつき参院議員が5月12日放送の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)に出演。「抜け穴だらけ」と批判を浴びる改革案について、ドジャース・大谷翔平選手を引き合いに出したことで、《これはトンデモ発言》《訂正してほしい》と視聴者から大ブーイングを浴びている。
スタジオで司会者が「確認したけれど、気づかなかった場合の言い逃れができてしまうのではないか、という指摘があります」と片山氏に意見を求めると、片山氏は「うちの責任者は今回、若手なんです。理事クラスの。責任者の国会での言によれば」と前置きして、「確認書」について説明。さらに「登録されている会計検査員。その人たちが適正性を見るわけだから、法律性のチェックとプロセスのチェックと適正性のチェックは全部できるわけだから、今回起きてしまったような『知らぬ存ぜぬ』、『全部秘書任せでした』、『我々帳簿を見たこともありません』と、そういうことはない」と、再発防止の有効性を訴え、こう続けた。
「唯一、守ろうとしているものがあるとしたら、大谷選手パターン。つまり、通訳の人がなんと電子詐欺まで使ってお金抜いちゃった、と。そういうことはさすがに議員、この場合で言えば大谷選手の責任じゃないだろうと。気づきようのない、きわめてテクニカルな犯罪しちゃう、と…」
自民党の裏金問題を語るうえで、大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告の巨額窃盗事件を引き合いに出したことで、ネット上では《何が大谷パターンなんだ》《ドヤ顔で大谷の名を利用する片山さつき》《税金無駄遣いの政治家と大谷を一緒にするな》などと批判の声が殺到する事態に…。
「この日の放送では、のらりくらりと批判をかわす片山氏のコメントにネット上では反発の声が多く挙がっていました。そもそも水原被告は会計責任者などではなく、大谷選手の口座から巨額の金を抜き取っていた犯罪者。一方、自民党の裏金議員が『知らなかった』というのは言い逃れという見方が大半で、窃盗被害に遭った大谷選手と同列に扱うべきではなかったかもしれませんね」(メディア誌ライター)
いずれにしても連座制導入の議論で「大谷パターン」など例に挙げるのは不適当だったようだ。